材料 TSAIWU 判定基準値を可視化する例題


始めに
複合材料用のいくつかの材料、
ソリッド向け: LAW12, LAW14, LAW25(Iform=0)
シェル向け: LAW15, LAW25(Iform=0)
は、Tsai-Wu 基準則を用いて、降伏の判定を行っています。
この判定値を確認すれば、降伏判定ができるので、本記事では、ソリッド用に LAW12、シェル用に LAW25(Iform=0) を用いて、Tsai-Wu 判定値を見てみます。
Tsai-Wu 判定値の決まり方
LAW12 を例にとって説明します。
このように、ごちゃっとした式が書いてあって、分かりにくいかもしれませんが、
こちらの緑枠に指定した線形での最大応力に、どれかの成分が到達すると、おおよそ 1.0 になる、と考えると分かりやすいかと思います。
そして基準値の最大値は 1.0 に拘束されています (*1)。ということで、逆に考えると、応力は 1.0 を満たす範囲でしか上昇できないということで、応力が頭打ちになります。それで、降伏が表現されるということになります。
*1) 1.0 より増やすことは、この B, n と謎の式で可能です。1.0 より増える→応力が少しは大きくなれるということで、降伏応力の拡大の表現となります。ただし、
そこまで考慮するのであれば、LAW25(Iform=1) の各材料方向ごとに応力拡大を設定した方が良いと思います。LAW12 らよりも複雑ですが、結果的には目的には早く到達するのではないかと思います。
なお、本記事では、応力拡大は考慮しません。
LAW12 ソリッド要素での出力例
例題モデル:
長繊維をイメージして、繊維方向 (材料方向1) には非常に強いけど、他は弱い材料としてみました。
これを繊維方向に引張試験しました。
出力は /H3D, /ANIM それぞれ以下です。
/H3D/SOLID/TSAIWU /ANIM/BRICK/TSAIWU
Tsai-Wu 基準は途中で 1.0 にへばりつきます。
繊維方向の引張試験なので、引張方向の応力が Tsai-Wu 基準値が 1.0 になるのと同時に 1500Mpa に到達し、降伏して一定となっています。
LAW25(Iform=0) シェル要素での出力例
例題ファイル:
先ほどとほぼ同じ材料です。材料 1方向に強く 1500MPa まで耐える長繊維材料です。
同じように、繊維方向に引張試験をします。
シェルの出力は /H3D, /ANIM それぞれこちらです。
/H3D/SHELL/TSAIWU/PLY=ALL/NPT=AL /ANIM/SHELL/TSAIWU/ALL
基準値が途中で 1.0 にへばりつき
同じタイミングで、繊維方向の応力も 1500MPa にへばりつきます。
Comments
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ちなみに入力した上限値できっちり F=1 となるわけではないです。特に、3行目の係数は負ですから、直交する方向の応力の符号が合ってれば、基準値を下げることになります。
静水圧 (σ1, σ2, σ3<0 ) やその真逆だったら、F=1 になりにくい、つまり深海魚と同じで破壊されにくいです。逆に σ1>0、σ2<0 のようにテープを引っ張ってハサミを押し当てて切るようなせん断の掛かる時には、F=1 になりやすい、つまり破壊しやすい、ということが、この式の表現に含まれています。
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