ある現象の結果から、ことなる現象の結果を予測してみる
始めに
これまでに、何度か CAE の結果から実測値を予測できるのかとか、CAE の結果と実測値の結果の差を予測できるのか、という問い合わせを受けたことがあります。
結論から言うと、できます。というのも、私たちは普段、何かが入力や設計変数で、何かを出力や応答、結果と受け止めています。例えば CAE モデルを入力と受け止めて、計算して出てきた数値を結果と受け止めています。これは私たちが勝手に受け止めているだけであり、RapidMiner にとっては、2つの値に関係性さえあれば、どちらが入力で、どちらが出力であってもかまわないからです。
そこで、本記事では、簡単な梁の曲げ解析を例にして、この件を掘り下げてみたいと思います。
例題
今回は、次のような矩形断面の片持ち梁について、せん断力を与えた場合と、モーメントを与えた場合を考えます。通常では、矩形断面の幅と高さが分かれば、どちらの荷重条件に対しても、たわみは計算で求めることができます。つまり
普通の CAE や手計算であれば、意識しているかどうかに関わらず、次のような関係性で、問題を解いているわけです。
入力 | 出力 |
梁断面の幅、梁断面の高さ | せん断力によるたわみ、モーメントによるたわみ |
そこで、本記事では、あえて
- 断面高さを取得することはできない
- 2条件に対するたわみは取得できる
- 上記2個の情報から、モーメントによるたわみを予想したい
とします。つまり、次の関係とするわけです。
入力 | 出力 |
梁断面の幅、せん断力によるたわみ | モーメントによるたわみ |
RapidMiner 用に用意したデータセットは次のようなものになります。データセットを自分で作らなくてはならない都合で、断面高さの情報も入っていますが、本記事では、そこにそのようなデータはないものとして扱います。
RapidMiner モデルは次のような単純なものです。
この結果、ほぼ完ぺきに予測することができています。
(梁のたわみの解析において、矩形断面幅と断面高さからたわみを出せるということは、幅とたわみから高さを出せるということなので、今回の問題は、数学的に答えが一つに決まっているので、予測モデルを鍛えた分だけ正確な答えを出すことができています)
本記事の内容を試してみたい方は、次のファイルをダウンロードして試してみてください。
エクセルファイル: doe_1.xlsx
RapidMiner モデル: example01.rmp
まとめ
本記事では、普段、結果や出力などと受け止めている物理量を、RapidMiner では入力として使うことができ、そこからほかの結果を予測することができることを示しました。
このテクニックを使うと以下のようなことが可能になります。
- CAE の結果を用いて、実測値を予測する
- CAE と実測値のずれを予測する