始めに
本記事では、例題を通して、円筒座標系を使って、ソリッド要素の材料座標系を決める方法を説明します。
/PROP/SH_ORTH (/PROP/TYPE6) でのルール
材料座標系は、ソリッドプロパティ /PROP/SH_ORTH で定義します。
利用するのは Ip, Vx,y,z, Px,y,z の項目です
    
        
             
    
まず、円筒座標系を使う場合は Ip=24 とします。
次に、円筒軸の向きを示すベクトルを Vx, Vy, Vz で定義します。例えば全体座標系の Z 軸を向いているなら Vx=Vy=0, Vz=1 という具合です。ベクトルの大きさは関係ありません。
最後に、円筒軸上の座標の一つを Px, Py, Pz で定義します。
これで 3次元空間の好きな場所に、円筒軸が作れるわけです。
あとは自動的に材料方向が決まります。
- ベクトル V の向き、つまり軸方向に、材料方向 2
- 要素中心から軸に垂線を引いて、方向 3。これは半径方向
- 方向 2 と 3 の外積ベクトルが、方向 1。これは周方向
 
    
なお、この Ip=24 の定義方法に HyperMesh2025.1 は未対応なので、テキストエディタで作成してください。
例題:
ダウンロード: 
モデルの外観です。
    
        
             
    
内側を強制変位で 4.7mm 広げて、外側は完全拘束です。こんな動きです。
    
        
             
    
軸が、座標 (0,0,0) を通過するベクトル (0,0,1) ですので、/PROP/TYPE6 はこうなります。P=(0,0,0), V=(0,0,1) です。なお、HyperMesh 2025.1 が未対応なので、インクルードファイルとして扱っています。HyperMesh に読み込んで書き出すと壊れます。
    
        
             
    
インクルードファイルの活用例についてはこちらを参考にしてください。
材料は、ハニカム向け材料 LAW28 にしました。ポアソン効果 (縦に引っ張ると横に縮む) を考えない = 応力xx 成分は、ひずみ xx 成分以外の影響を受けない、という単純な材料ルールのため、弾性係数を 0 にしても矛盾が起きずに、こういうときの検証には便利です。
    
        
             
    
参考記事: 
E11 だけ 1000MPa にしています。E11 というのは、周方向の弾性係数です。HyperView で円筒座標系を作って、応力成分を見てみました。hv.mvw ファイルが HyperView のセッションファイルで、円筒座標系を作成済みです。
こちらは半径方向、つまり板厚が変わる方向の応力ですが、ほぼゼロです。色が不ぞろいなのは、モデルがあまり正確にできていないからです。私の造形方面の能力の限界ですので、ご容赦ください。
    
        
             
    
周方向の応力は強くでています。このモデルは、板厚が減るだけに見えますが、要素中心位置で考えると、半径が膨らんでいる = 円周が伸びている、と言えますので、周方向に応力がでます。
    
        
             
    
軸方向もしっかり 0付近です。
    
        
             
    
ハニカム材料の、弾性係数を入れ替えるなどしてみて、動作を確認してみてください。