もっとも簡単なガスケットモデルの例題

はじめに

本記事ではガスケット要素特性 PGASK と、ガスケット要素材料 MGASK を使った、最小の例題モデルを提示します。両カードとも、パラメータがたくさんありますが、最小の入力で設定します。

なお、ガスケットモデルは、非常に薄い空間に、ガスケットを模擬する非常に薄いソリッド要素を埋め込んで潰すという技術です。普通のソリッドでは薄すぎて、そしてつぶれすぎてエラーになるような問題にも対処するための技術です。

つまり、ガスケットに使われているゴムなどの材料を的確に表現する、という意味ではないことに注意してください。十分な厚みの取れる物や、ガスケット自体の変形を解くのが目的、という場合は、普通にソリッド要素と超弾性材料 MATHE などを使うのが良いと思います。

例題

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例題モデルは、次の1要素のモデルです。寸法は 10x10x1mm です。

要素の作り方、プロパティ、材料の順に見ていきます。

要素の作り方

要素は普通の CHEXA カードではなく、CGASK8 カードを使います。この節点 G1~G4 と G5~G6 で厚み方向が決まるので、非常に重要です。

例題モデルではこうなっています。

HyperMesh の Map で作るときに、しっかりと押し出し面を指定したり、

シェル要素を押し出して作るなど、工夫してみてください。

プロパティ PGASK

PGASK で最低限必要なのは、次の2項目だけです。

例題モデルもこうなっています。

材料 MGASK

MGASK で最小限必要な項目は次の 3項目です。

例題モデルです。

EPL は 1.0 でよいです。あとで説明するので、知りたい人だけ読んでください。

GPL は横弾性係数ですが、単位が、応力/変化距離 です。ガスケット要素が、長さ 0 の要素 (変化率であるひずみが計算できない) でも利用できるようにするため、このようになっています。

例題モデルの入力例では、メッシュの横手長さが 1mm でも 0.1mm でも 10mm でも、2MPa 与えたら 1mm の変形になる点に注意してください。

TABLED はつぶれ距離と、圧力のカーブです。例題モデルはこうなっています。カーブを寝かせれば、弾塑性を模擬することができます。カーブは必ず右肩上がりのまま終わるようにしないとエラーとなります。こちらもつぶれ割合(ひずみ)ではなく距離であることに注意してください。

ひずみという割合ではなく、距離との関係になっていることについてですが、これは、見た目、またはプリ処理としてはソリッド要素を使っていますが、中身的には次のように4本のばねが入っていると考えると、分かりやすいかもしれません。通常ばね特性は、のびの割合ではなく、のび量そのもので記述しますので。

EPL については読みたい人だけ読んでください。厚み方向の弾性係数 (応力/変形量) は、最初に TABLED の初期の傾きを読み取り、その傾きに EPL を掛けた数値となります。これが 1.0 にしておけば良いとした理由です。

解析条件と結果

例題モデルには3個の非線形サブケースを用意してあります。

1個目は厚み方向に 1mm の圧縮です。

完全に潰し切ることができます。

こちらは変形量と応力の関係ですが、MGASK の TABLED と同じ関係が得られています。

2個目のサブケースは 1mm のせん断変形を加えています。全体座標系での σzx=2.0 MPa となっており GPL (=2MPa/1mm) に一致しています。

3個目のサブケースは、長手方向に 1mm 引き延ばしています。計算誤差は乗っていますが、応力は 0MPa です。

これで、この要素が見た目はソリッドだけど、中身はばねのようなものと示した理由が分かると思います。また、ガスケットに使われている材料そのものを表現するためのものではなくて、あくまでもモデリング技術である、と記した理由も分かっていただけたかと思います。

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