/INTER/TYPE7 接触の特徴と TYPE25 との比較

altair_fukuoka
altair_fukuoka
Altair Employee

はじめに

今でこそ私は、Radioss の入門 (演習書とビデオ) に /INTER/TYPE25 を薦めていますが、それ以前は TYPE7 を薦めてきました。TYPE25 を薦めている理由は、より汎用的に使えるシーンが多そうだからではありますが、だからと言って TYPE25 がすべての面で TYPE7 を上回っているということではありません。利用シーンによっては TYPE7 の方が適合することもあるでしょう。

そこで、本記事では /INTER/TYPE7 の特徴と TYPE25 の比較を行ってみたいと思います。

/INTER/TYPE7 の特徴

最大の特徴は、仮想ばねの接触剛性が、貫入量に応じて可変であるということです。TYPE25 は接触剛性が一定です。秘密は理論マニュアルに記載されている式にあります。

この式をしっかり知る必要はないのですが、この式は、節点が、要素面に近づくほど、接触剛性が高くなり、隙間が 0 になると無限大になることを表現しています。

TYPE7 の TYPE25 に対するすべての長所と短所がここにある、と言ってもよいくらいです。

TYPE7 の TYPE25 に対する長所

めり込まない

隙間が 0 になる前に、すべてを跳ね返すので決してめり込むことはありません。(強制変位などで、無理やりやれば、おそらく計算が不安定になって落ちます。)

このように、2個の物体を無理やり押し付ける解析をすると、TYPE25 は食い込みますが、TYPE7 は食い込みません。アニメでは、接触していることを示すために、接触力ベクトルを表示しています。

拡大すると、隙間があることが分かります。

このモデルのダウンロードはこちらです。

初期接触剛性をあまり気にしなくて良い。少し弱めに設定しておいてよい。

多少、接触剛性が柔らかめでも、深く貫入するにつれて自動的に接触剛性が跳ね上がるので、あまり気にしすぎなくても、きっちり跳ね返します。

このアニメーション中の Stfac というのが、Radioss が決めた接触剛性に対する倍率です。0.01 倍まで下げても、突き抜けは起きません。

このように、隙間には差がでてきます。

このモデルはこちら。

計算コストが小さい

TYPE7 は突き抜ける前に跳ね返すので、突き抜けた節点を追跡したりするような特別な処理が不要です。そのため、突き抜けた節点の追跡などをしなくてはならない TYPE25 よりも計算コストが小さくなります。

こちらは、先ほどまでの計算をサイクル数を同じにして行ってみたものです。_0001.out にこのような出力があります。こちらは実時間ではなくて CPU 時間 [秒] です。接触計算に TYPE25 が 44秒ほどかかるところ TYPE7 は 28秒で済ませています。

TYPE25 に対する短所

良いことばかり書きましたが、もちろん短所もあります。そうでなければ、私の第一お勧めを TYPE25 にしたりはしません。

要素面の上に完全に乗せることはできない

数式上、隙間を 0 にできないので、0 にしてしまったり、極端に 0 に近づくと、いろいろおかしくなります。

節点座標を手で編集して、完全に隙間をなくしてみました。

実は、このモデル、スターターすら通りません。

また、今度はほんの少しだけ隙間を与えてみましたが、計算始まってすぐに、Radioss が計算をあきらめて、接触条件を取り除いてしまいます。

または、計算が不安定になって落ちます(うまく再現できませんでした)。

私の経験では、要素長の 1/50 くらいの初期隙間が必要です。これが、近年のソリッド要素主体のモデリングと相性がとにかく悪いのです。

この2個のモデルはこちら。

時間ステップが小さくなる

実は、1個目の長所のモデルを流すとわかるのですが、TYPE7 は接触剛性が増える分、時間ステップも下がります。TYPE25 よりも多くのサイクルを回すか、大きなマススケーリングが必要になります。

これは 1個目の長所のモデルを見てください。

まとめ

このようなときは TYPE7 の活用を考えても良さそうです。

  • 突き抜けはとにかく許容できないシミュレーションを行うとき
    • 加工成形など
    • HyperMesh のエアバッグ折り畳みツールでも、本目的で使われています。
  • 最速モデルに挑戦するとき

逆にそれ以外では TYPE25 はどこでも使えるので、非常に汎用性が高いのです。

Tagged: