Radioss: *BOUNDARY_PRESCRIBED_MOTION が LS-DYNA リーダーでどのように変換されるのか説明します (DOF=4,8) 限定

altair_fukuoka
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はじめに

LS-DYNA リーダーは *BOUNDARY_PRESCRIBED_MOTION をサポートしています。

https://2024.help.altair.com/2024/hwsolvers/ja_jp/rad/topics/solvers/rad/boundary_prescribed_motion_lsdyna_r.htm

ですので、直接の実行も、

変換も可能です。

特に変換してから使う場合、変換先がどのようになっているのかが分かると、変更や修正、または既存の設定を見ながら新たに作るなどが、簡単になると思いますので、この記事で解説します。

タイトルにもあるように DOF=4, 8 のベクトルで自由度を指定するやり方についてのみ、本記事では解説します。というのも、LS-DYNA ではベクトルで自由度を決めるやり方がありますが、RADIOSS は、全て、座標系の軸を使って自由度を決める、というやり方一本鎗のため、変換先のモデル構成が、微妙に分かりにくいと思われるからです。

変換の仕組み

ここからは、この例題ファイルを使って解説します。

この例題では、変換先は /IMPDISP (強制変位) になります。変換先の対応を色分けしてあります。

順番に見ていくと、まず "_RIGID_ID" と "TYPEID" で、剛体の 2番に対して、強制変位など拘束条件を与えるという宣言となっていますが、これが RADIOSS では "Gnod_id" という節点グループに対して、拘束条件を与えるという変換になっています。

Radioss では拘束条件は、全て節点集合に対して与えます。剛体に与える場合は、剛体の第一節点を含む節点集合に対して与える、という形になります。ですので、拘束対象を変えたい場合、Radioss ではこの節点グループを変更することになります。

次は "DOF=4" により、ベクトルの方向に拘束を与えることになっていますが、Radioss への "DIR=X" は (指定された座標系の) X 軸自由度を拘束しろという指示になっています。Radioss の拘束条件は、全て、座標系の軸に対しての指示であり、LS-Dyna のように、ベクトルに対しての指示、という条件設定は無いからです。

この場合、大事なのは、どの座標系を使うのか、ということになるので、順番を変えて VID と Iskew から説明します。

VID はベクトルの指定です。例題モデルでは、このように XY 平面上での 45度方向です。

Radioss にはベクトル定義がないので、その代わり、このベクトルを X 軸とする座標系 (/SKEW) を作ります。

ですので、拘束条件の向きを変えたいときは、この座標系を変更することになります。

では元の順番に戻ります。次は "VAD=2" ですが、これは強制「変位」条件であることを指定してます。Radioss だと強制変位、強制速度、強制加速度がそれぞれ /IMPDISP, /IMPVEL, /IMPACC と異なるカードとなるため、"VAD=2" によって強制変位 /IMPDISP が選ばれています。

最後の "LCID" は、変位ー時刻カーブで、/FUNCT (と /MOVE_FUNCT) に変換されています。変位-時刻の関係を変えたいときは /FUNCT を変更します。

相違点のまとめ

Radioss に変換したモデルを修正したり、参考にする際に、相違が大きい部分のまとめです

  • LS-Dyna 側でどのようにエンティティを指定しても Radioss 側は節点集合 /GRNOD になる
  • LS-Dyna 側のベクトルは、そのベクトルを X 軸とする座標系 /SKEW となる

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