.sta ファイルを使って、応力、塑性ひずみ、シェル板厚変化、変形を引き継ぐ方法


前回の解析を引き継ぐにために必要な、
- /INIBRI/STRS_F: ソリッド要素の応力テンソル、塑性ひずみ
- /INIBRI/STRA_F: ソリッド要素のひずみテンソル
- /INISHE/STRS_F: シェル要素の応力テンソル、塑性ひずみ、板厚
- /INISHE/STRA_F: シェル要素のひずみテンソル
これらのカードを、自動的に .sta ファイルに出力する機能があります。本記事はシェル要素のモデルを使って解説していますが、ソリッド要素の時は /INISHE を /INIBRI に置き換えてください。
1回目の解析のときに必要な設定Engine ファイル _0001.rad に .sta を書き出すための設定が必要です。私がテストしたファイルは 1回目のテストデータ.7z です。
/STATE/DT/ALL # 0.01 は書き出し間隔 0 0.01 # ソリッドのときは /STATE/BRICK /STATE/SHELL/STRAIN/FULL /STATE/SHELL/STRES/FULL
https://2021.help.altair.com/2021.1/hwsolvers/rad/topics/solvers/rad/initial_state_engine_r.htm
計算実行すると、_0002.sta (場合によってはもっと大きい数字ですが、一番大きいものが最後です) ファイルが出来上がります。この中に /INISHE/STRA_F, /INISHE/STRS_F ができています。
実際の計算結果は次のようなものです。
2回目の解析のときに必要な設定テストに使った 2回目のモデル: 2回目の例.7z
_0002.sta には /INISHE だけでなく節点の /NODE, 要素の /SHELL カードもあります。ですので、_0002.sta ファイルをそのまま次の解析モデルにインクルードすると、節点、要素の重複でエラーになるので、/NODE と /SHELL のブロックを消しておきます。そうしたら、スターターファイル 0000.rad にインクルードします
#include Inishe_0002.sta
通常 # はコメント文ですが #include に関してはインクルードとして動作します。
計算してみると、時刻ゼロで、応力などが発生していることが確認できます。先に出てきた 1回目の最終時刻と見比べてみてください。全く同じになっています。
捕捉1 HyperWorks は /INISHE 未対応です (バージョン2021.2に於いて)いきなり HyperWorks に読み込ませずにテキスト編集を行ったのはこのためです。
捕捉2 変形も引き継ぎたいときは節点カード /NODE を HyperWorks で上書きします。まず .sta ファイルから /NODE ブロックのみを残します。例 node_0000.rad
HyperWorks の操作は動画で説明します。
Comments
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応力は要素プロパティの Ismstr=1,2,3,4 の時に引き継がれます。Ismstr=10,11,12 の時は引き継がれない(応力が 0 のまま) ですので、注意してください。
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ばね要素の引継ぎデータ出力要求はこちらです。
/STATE/SPRING/FULL
https://2024.help.altair.com/2024/hwsolvers/ja_jp/rad/topics/solvers/rad/state_spring_full_engine_r.htm
スターター用に
/INISPRI/FULL
本カードが出力されます。
https://2024.help.altair.com/2024/hwsolvers/ja_jp/rad/topics/solvers/rad/inispri_full_starter_r.htm0 -
初速の引継ぎデータの _0001.rad への要求はこれです。
/STATE/NODE/VEL
.sta ファイルに _0000.rad 用の /INIVEL/NODE が出てきます。
/INIVEL/NODE
こんな風に、1要素ばねに初速を与えて、勢いが付いて戻ってきたところを引き継いでみた例です。/INIVEL/NODE 引継ぎなしなら、ほとんど止まってしまう(数値の誤差で微妙には動く)ので試してみてください。
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