/DT1TET10について
Radiossなど陽解法ソルバーはわりと計算時間が長くなりがちで、翌日出社して途中でエラーとなっているのを見ると残念な気持ちになりますが、いくつかの経験的な良い設定に準拠して頂くことで多くのエラーは避けることが可能です。その設定については、下記"best practices"としてまとめられておりますので、途中エラーを経験する方は是非一度見て頂きたいと思います。
エラーとなる原因はいろいろあるので一概には言えないのですが、上記"best practices"のほかに、経験的に途中エラーを低減させる効果が高いと感じている設定に、/DT1TET10がございます。エンジンファイル(*_0001.rad)に/DT1TET10と一行追記頂くだけで要素品質の悪いテトラ2次要素を含むモデルのエラー発生率低減に効果を発揮します。
ヘルプを見ると、「タイムステップ見積もりが一般的に標準より小さくなりますが、不安定性を解決できる可能性があります」との記載があります。
>This time step estimation is generally lower than the standard one, but may solve instability problems.
では、実際にタイムステップはどうなるのでしょうか?確認したのが下の表となります。
この表から、要素品質の良い正四面体2次要素では/DT1TET10の有無に関わらずtime stepは同じですが、要素品質の悪い扁平な潰れた四面体2次要素では(この形では)2割程度time stepが低下するという事がわかります。つまり、全部の要素が正四面体でない場合(事実上ほぼ皆様がそうだと思いますが)、/DT1TET10を追加することで、マススケーリングを設定している場合は追加質量が増加し、マススケーリングを設定していない場合は計算時間が長くなります。
ただ、お客様のモデルを見せて頂くと、複雑なCAD形状や早期に結果を求められることに起因すると思われる潰れがちな四面体2次要素が残っていて、それが原因でエラーとなっていることも多いと感じています。品質の悪い4面体要素周辺が原因と思われるエラーによく遭遇する方は一度お試し頂けますと幸いです。