射出成型のそりを、繊維配向を考慮して計算する方法です。使用ソフト Inspire Mold, MultiScale Designer, OptiStruct, HyperWorks
概要
Inspire Mold でそりの計算ができますが、繊維配向は考慮されていないので、繊維配向を考慮する方法を示します。
注意
Inspire Mold で射出成型解析を行って繊維配向テンソルを取得し、その繊維配向テンソルを構造解析メッシュにマッピングし、MultiScale Designer で作った短繊維 FRP 材料を OptiStruct で使う、基本の操作は、以下のチュートリアルに従ってください。
本書では細かい操作指示はせず、設定上の留意点のみ記述します。
1, Inspire Mold での設定
ほぼ演習書の 1章の通りですが、以下の様に、解析に反りまで含めます。
計算フォルダに c2mRun_warp*.fem と言うファイルが複数できています。Inspire Mold で見えている反りの結果は、この OptiStruct の計算結果です。しかし繊維配向は考慮されていないただの線形静解析です。マスターファイルは c2mRun_warp.fem で、他はインクルードファイルです。
後ほど、このファイルを繊維配向を考慮するように変更するので、コピーを取っておきます。繊維配向テンソルファイル c2mRun_fiber_elemental_results.xml も演習書同様にコピーしておきます。
2, HyperWorks でのマッピング
先ほどの OptiStruct ファイルに繊維配向テンソルをマッピングして、 h5 ファイルを作ります。
演習書 2章との違いは同じメッシュにマッピングすることです。フィールドを作ったら、そのままリアライズします。
動画でも説明します。
同じメッシュにマッピングするというのは変な感じですが、それならば、xml 形式を h5 形式に変換するための作業と受け止めてください。
3, MultiScale Designer での材料作成
演習書 3章 とほとんど同じなのですが、演習書では熱膨張係数を 0 にしているので、熱膨張係数を入れます。
4, OptiStruct ファイルの変更
材料と繊維配向テンソルの割り当ては演習書 4章と同じです。c2mRun_warp.fem を編集します。
演習書と同様に先頭行への貼り付けと、
材料の書き換えをやります。Inspire Mold が作ったデータでは材料 ID が 1001 番なので合わせます。
演習書 +αとして、線形静解析を非線形静解析に変更します。 c2mRun_warp.fem の begin bulk の下に nlparm, 999 と打ち込みます。
つぎは、c2mRun_warp_subcase.fem を編集します。
analysis = nlstat
nlparm(lgdisp) = 999
の二行を以下の様に書き込みます。
あとは計算実行で完了です。
参考に、OptiStruct の編集済みデータも置いておきます。こちら
4-1, Inspire Mold 2022.2 からの注意事項
Inspire Mold 2022.2 から、反りの計算時に、成型時点(実際には製品を取り出すために減圧して蓋を開ける直前とイメージしていただければと思います)での初期応力を考慮するようになったため、Inspire Mold 2022.2 が作成する OptiStruct モデルには、成型時点での初期応力設定 (下図の末尾 _warp_InitialStress.fem) と、初期応力でつり合いを取るサブケースが追加されています。初期応力カード INISTRS と MultiScale Designer 材料 MATMDS が非適合のため、初期応力に関係する部分を取り除く必要があります。
必要なファイルと、編集項目の概要
まず _warp.fem ファイルを開いて、_warp_InitialStress.fem の INCLUDE 文を消すかコメントアウトします。
次は _warp_subcase.fem を編集して、最初のサブケースをコメントアウトするか削除します。
これで動かせるようになります。