MultiScale Designer 材料を使って、OptiStruct 非線形解析で引張と圧縮のヤング率を変える方法
始めに
MultiScale Designer では、引張と圧縮に異なるヤング率を設定できます。その材料を OptiStruct から利用することもできます。実際にはヤング率という線形特性だけでなく、非線形特性も変更できます。
本記事では、MultiScale Designer 材料を用いて、OptiStruct で引張と圧縮のヤング率の異なる非線形シミュレーションを行う例を示します。
詳細
MultiScale Designer は問題を簡単にするため Single scale モデル (素材が一つのみ、空隙等もない、豆腐形状の材料) を利用します。
次のような材料特性とします。
あとは OptiStruct モデルに組み込めば完了です。
あとは普通に非線形解析の設定をするだけで、モデル定義上の間違いはないのですが、ひとつ tips があります。計算開始直後の最初のインクリメントは、全く変形が無い状態で、圧縮でも引張でもありません。ただし材料としては、圧縮か引張のどちらかで扱わなくてはならないので、MultiScale Designer は、変形が全くない状態では引張の特性を採用します。離散化された数値演算の都合上、どちらかに決めないと、計算が不可能なのです。
少しでも変形すれば圧縮と引張が明確に判明するため、最初のインクリメントでは、解析時刻があまり進まないようにして、次のインクリメントから引張と圧縮を判定させるようにします。本例題は極端に特性を変えていますが、通常はここまで大きな違いはないと思うため、そこまでシビアに考えなくても良いかもしれません。
20% の引張、圧縮試験の結果は次のようになります。
(クリックで拡大)
圧縮では狙いどおりに剛性が 1/10 になっているのがわかります。
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