Radioss の /MAT/LAW92 ゴム材料を 1要素モデルで説明します。

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Altair Employee

始めに

大きなひずみの領域までの再現性が良い (*1) として人気の Arruda-Boyce 超弾性材料の簡単な使い方を説明します。単軸引張試験の応力ーひずみカーブを入力できるので、使い勝手が良いです。参考として 1 要素モデルも作りました。

*1) 

ゴム材 料 の力 学特 性 同定 とFEM解 析 へ の利 用, 飯 塚 博氏・ 山 下 義 裕氏 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/77/9/77_9_306/_pdf

 

簡単な使い方の説明と 1要素モデル

1要素の単軸引張モデルはこちら: model01.7z

 

リファレンスはこちらです。

https://2024.help.altair.com/2024/hwsolvers/ja_jp/rad/topics/solvers/rad/mat_law92_starter_r.htm

 

必須設定項目は

 

ρi は初期密度、fct_ID が単軸引張試験の応力ーひずみ線図、ν がポアソン比です。

 

必ず、引張試験の結果を使ってください。次の記事のように圧縮試験の値は、あてになりません。完全な弾性体ですので、1軸を引っ張れば、2, 3 軸は縮みます。引張試験の結果でもちゃんと圧縮特性出ます。

https://community.altair.com/community/ja/?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0120751

 

ポアソン比は、デフォルトでも 0.495 が入ります。なお、Radioss だけではないのですが、現在こういう計算に使われている物理学だと、ポアソン比 0.5 を超えると、時間ステップが 0 になるので、計算できません。必ず 0.5より小さい値とします。デフォルトの 0.495 で始めてみるのも良いかと思います。

 

例題では、次のように設定しています。

 

また、ソリッドプロパティですが、ヘキサ用の Isolid=24 の他、基本的に -1 が用意されているところい -1 を打ち込めば大丈夫です。テトラの場合も Isolid=24 が無視されるだけなので、同じで大丈夫です。

 

材料とプロパティはこれで終わりです。ところで、SS カーブを入力はしましたが、この材料は、カーブのとおりの応力ーひずみの関係になるものではなく、Arruda-Boyce 材料式のパラメータ決定に使われます。

 

実際の式ではどのような値になるのか、というのは _0000.out ファイルに出てきます。

 

下の方に出ている MU, D, LAM を使った設定もできます。左から順に MU, D, LAM です。

 

例題モデルで荷重ー変位カーブを描いてみました。もともと 1辺 10mm の立方体ですので、変位の 1/10 がひずみ、荷重の 1/100 が応力です。フィッティングされたものと同じになっているのが分かります。