モード法の過渡応答解析と周波数応答解析の比較

fujita
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Altair Employee

1. はじめに

過渡応答解析と周波数応答解析は同じ現象を時間領域と周波数領域から見ている。

そこで、OS-T: 1315 モーダル法によるブラケットの過渡応答解析をベースとして以下の手順で結果がほぼ一致することを確認する。

a) 過渡応答解析と周波数応答解析の荷重ケースを比較

b) インパルス荷重を与えた過渡応答解析から観測点の変位の時刻歴波形を取得

c) 単位入力の周波数応答解析から観測点の変位の周波数応答関数を取得

d) bで得られた時刻歴波形をフーリエ変換し、cの周波数応答関数と比較

図1に解析モデルの概要を示す。

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図1: 解析モデルの概要

2. 過渡応答解析と周波数応答解析の荷重ケースを比較

モード法の過渡応答解析(MTRAN)と周波数応答解析(MFREQ)は図2のように荷重ケースが似ている。

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図2: 過渡応答解析と周波数応答解析の荷重ケース

ここでは、TABDMP1のモード減衰の値を以下のように0.05とする。

TABDMP1 5 CRIT
+ 0.0 0.05 1000.0 0.05ENDT

TSTEP          310000   0.001

3. インパルス荷重を与えた過渡応答解析から観測点の変位の時刻歴波形を取得

以下のように大きさ1の荷重時刻歴をTABLED1で与える。

TABLED1 2 LINEAR LINEAR
+ 0.0 0.0 0.001 1.0 0.002 0.0 5.0 0.0
+ ENDT

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荷重を以下のように節点395にZ方向下向きに大きさ1で与える。

DAREA          4     395       3    -1.0

TABLED1とDAREAをTLOADでまとめる。

TLOAD1         7       4                       2

TSTEPを以下のように0.001秒刻みで10000点、つまり10秒間に設定する。

TSTEP          310000   0.001                           

SPC, EIGRLは元のチュートリアルと同じ。

計算実行して得られるN395のZ変位の時刻歴波形をHyperViewで表示すると図3のようになる。

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図3: N395のZ変位の時刻歴波形

4. 単位入力の周波数応答解析から観測点の変位の周波数応答関数を取得

3の過渡応答解析の設定において、TABLED1を以下のように全周波数で大きさ1の単位入力となるように変更。

TABLED1 2 LINEAR LINEAR
+ 0.0 1.0 1000.0 1.0ENDT

TLOAD1のかわりにRLOAD2でTABLED1とDAREAをまとめる。

RLOAD2         3       4                       2       0        

周波数応答関数は以下のように1Hzきざみで100Hzまで出力する。

FREQ1          7     1.0     1.0      99

計算実行して得られる周波数応答関数をHyperViewで表示すると図4のようになる。

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図4: N395のZ変位の周波数応答関数

5. 3で得られた時刻歴波形をフーリエ変換し、4の周波数応答関数と比較

HyperGraphで以下の手順で3の時刻歴波形をフーリエ変換する。

https://community.altair.com/community?id=community_question&sys_id=df770e7a1b90a4d08017dc61ec4bcb86&view_source=searchResult

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図5: N395のZ変位の時刻歴波形をフーリエ変換

csvに出力し、エクセルで4の周波数応答関数と重ね合わせると図6のようにほぼ一致する。

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周波数が高くなると乖離してくる。高周波まで一致させるためには過渡応答解析で長い現象時間を細かい時間ステップで計算する必要がある。