IH加熱問題を Flux と OptiStruct の組み合わせで計算する方法


Flux で IH加熱を計算すると、電流、磁場はミリ秒単位で変化するので、温度もそれに合わせてミリ秒単位で計算することになります。しかし温度というのは、秒、分という単位で変化するので、とんでもない計算量が必要になってしまい、計算に時間が掛かります。


そこで、本記事では、Flux で平均的な発熱量を計算して、それを OptiStruct に渡し、OptiStruct で伝熱計算をする、という方法をお伝えします。


Flux で必要な作業

計算済みのFluxプロジェクトから、下記の手順で発熱量の平均化処理と、その結果の出力方法についてご説明します。詳しい操作方法は動画をご覧ください。

発熱量の時間平均処理

過渡磁界解析の結果から、各時刻での発熱量が求まっています。その結果をそのまま時刻歴データとして利用するのではなく、指定した時間区間で平均処理をすることで、平均発熱量を求めます。

OptiStruct用のファイル出力

FluxのImport/Export contextという機能を利用して、時間平均処理した発熱量分布をOptiStruct形式で出力します。

説明ビデオとサンプル添付ファイル

Fluxデータ


OptiStruct

ここでは、Flux からもらったファイルを HyperWorks でどのように処理するのか説明します。本記事では Flux からもらったモデルから最低限の過渡伝熱解析のできるモデルに修正していきます。熱伝達や輻射などの一般的な伝熱解析の解説は、本記事では行いません。

やる内容を次にあげます。詳しい操作は動画をご覧ください。

メッシュを 1/1000 にスケール

Flux 側が QVOL (体積当たりの発熱量) を SI 単位 W/m^3 で書き出しているけれど、メッシュ自体は mm で出しています。1/1000 倍して m に揃えます。

MAT4 を設定する

MAT4 は伝熱に関する材料特性です。本記事では以下の設定をします。

熱伝導率 K 75 W/m/K
比熱 CP 460 J/kg
密度 RHO 7850 kg/m^3

QVOL を一つの SID にまとめる

SID とは HyperWorks 上では Loadcollector の ID です。HyperWorks は大量の Loadcollector があると動作が重たくなることがあるための処置です。ご自身の環境で重くならないのであれば不要です。



過渡解析用の設定

TLOAD1, TABLEG, TSTEP, TEMP など、過渡解析に必要なカードを作っていきます。

SUBCASE の作成

必要な IC, DLOAD, TSTEP の設定をします。

OMIT カードを消す

OptiStruct フォーマット上必要な BEGIN BULK, ENDDATA を正しく出力させるためです。

PARAM, CHECKEL, NO

要素品質チェックをスキップします。理想を言えば、これを付けずに流れるようにメッシュを修正した方が良い結果が得られます。

説明ビデオとサンプル添付ファイル

OptiStructデータ