RapidMinerとMendixを組み合わせて、アラート検知からAI分析、対応までを一つにつなぐ最新シナリオをご紹介します。
工場では毎日のように機械アラートが発生します。
しかし、多くの現場では、
・アラートログの確認
・原因の深掘り
・対応判断
・担当者への連絡
これらがバラバラのシステムに散らばっており、対応に時間がかかるのが現状です。
今回ご紹介するデモでは、RapidMiner と Mendix を組み合わせることで、これらのプロセスを “ひとつのアプリ” で実現するアプローチをご紹介します。AIによる予兆検知、原因調査、対応指示、チケット化までを一気通貫で行うことで、止まらない工場運営を支援します。
止まらない工場の実現 - 一元化されたデジタルオペレーション -
従来のアラート管理は、システムごとの分断が課題でした。
Evora の工場管理アプリでは、これを統合プラットフォームとして再構築。リアルタイムデータ、ERP連携、ナレッジグラフ、AIモデルがひとつのアプリで活用でき、管理者は状況把握から判断、実行までをスムーズにつなげることができます。
その結果…
・アラート発生に即時対応
・判断の属人化を解消
・データから導かれる“正しいアクション”が誰でも実施可能
・運用コスト削減と生産性向上
といった大きな効果を期待できる”止まらない工場”をステップごとにご紹介します。
ステップ 1 : アラートを受信する
アラートが発生すると、インシデント情報は Graph Studio(ナレッジグラフ)に保存されます。ナレッジグラフによって、関連機器・過去の履歴・影響範囲などをつなげて理解できるようになります。
ステップ 2 : IoTデータを確認する
アラートをクリックすると、機械の状態やIoTセンサー値がリアルタイムで表示されます。
「今何が起きているか」が即座に把握でき、初動が速くなります。
ステップ 3 : ナレッジグラフで原因を調査する
自然言語で対話ができるAIアシスタントを開き、チャットで質問すると、Graph Studio が裏側で SPARQL クエリを生成し、データを瞬時に検索します。
例:
「マシン FAR70 の最新のインシデントは?」
「前回トラブル時の圧力値を教えて?」
「どの製品に影響が出る可能性がある?」
専門知識がなくても、必要な情報がすぐに手に入ります。
ステップ 4 : 根本原因の特定
チャットボットの回答をもとに、機械のどのパラメータが問題を引き起こしている可能性があるかを調査します。ここでは、機器の構成や稼働条件をチェックし、故障につながりそうなポイントを絞り込みます。
ユーザーはチャット形式で簡単にモデルシミュレーターを呼び出すことができます。この操作により、AI Cloud 上に展開されている故障予測モデル(デジタルモデルシミュレーター)が起動します。
ステップ 5 : モデルシミュレータを実行する
ユーザーは、モデルのパラメータを自由に変更し、AI Cloud のエンドポイントを通してシミュレーションを実行できます。これにより、パラメータ設定の違いが故障リスクにどのような影響を与えるかを即座に確認できます。
また、「構成を最適化する」ボタンを押すことで、アプリが自動的に推奨設定を生成し適用します。
これにより
・最適な調整案がすぐ得られる
・不要なトライ&エラーを削減
・パフォーマンス向上とリスク低減
につながります。
AI Cloud には Auto AI 機能が備わっており、モデル選定・学習・最適化を自動で実行できます。
専門的な知識がなくても、高精度な故障予測モデルを短時間で作成できるため、現場チームは迅速に意思決定を行い、計画外のダウンタイムを予防できます。
ステップ 6 : スケジュール変更・対応の開始
最適設定が決まったら、ユーザーは「チケット作成」ボタンを押して、必要な変更内容を作業として登録します。ここでは優先度や関連情報を記入し、対応をスケジュールできます。
Mendix ワークフローと AI が連携することで、
・チケットの自動生成
・推奨アクションの自動追加(過去チケットの分析に基づく)
・適切な担当部署への自動ルーティング
などを一度に処理します。
ステップ 7 : チケット作成ワークフロー
チケットが作成されると、ユーザーへ通知が届きます。
通知からチケットの詳細ページに移動でき、更新内容や担当者などをすぐに確認できます。
このワークフローにより
・複雑な依頼の抜け漏れ防止
・担当者間のスムーズな受け渡し
・作業の標準化
が実現します。
ステップ 8 : チケットの検証・追跡
対応が進むと、ユーザーはチケットのステータスをいつでも確認でき、対応の透明性が高まります。
これにより、
・構成の変更依頼 → 実行 → 完了
までのワークフローが明確になり、現場は常に最新状況を把握できます。
Mendix のワークフローとAI機能により、リアルタイムデータを活用した高度なルーティングと情報補完が行われ、適切な担当者が確実に対応できる環境が整います。
以上のように、RapidMiner と Mendix を組み合わせることで、アラート対応から原因分析、AIによる予測、そして現場オペレーションの実行までをひとつにつなげる “止まらない工場” を実現できます。分断されていた業務プロセスが滑らかにつながり、現場の判断スピードと品質が大きく向上します。ぜひ、この連携を通じて次世代のスマートファクトリーの実現に向けて、ぜひご活用ください。