/MAT/LAW112 紙・ダンボールなどの材料の例題: シェル編

始めに

紙の箱や段ボールに使われている材料を模擬するための弾塑性材料 /MAT/LAW112 を用いたシェル 1要素モデルの例題を示します。

シェル向けの方が、入力項目が若干すくないため、まずシェルの例題を作りました。ソリッドの例題はまた別記事とします。

ぱっと見、/MAT/LAW112 はややこしいですので、次の順番で少しずつ理解を深めていきましょう。

  1. (線形)弾性特性の定義
  2. 降伏応力拡大のない、塑性の定義
  3. 降伏応力が拡大する、塑性の定義

例題モデルの共通の部分の説明

例題モデルはこのように要素が 6個あり、材料方向1 の配向角 0 度と 90度の物に対して、それぞれ、5% の引張、圧縮、せん断試験を行います。

image.png

境界条件については、こちらのアニメーションが分かりやすいと思います。

deform05.gif

1, 線形特性だけの例題

ダウンロード:

必要な入力項目は緑塗の箇所です。

https://2024.help.altair.com/2024/hwsolvers/ja_jp/rad/topics/solvers/rad/mat_law112_paper_starter_r.htm

image.png

板厚方向の特性である黄色の部分は、入れなくても動作します。入れておいても問題は起きません。Radioss のシェルは G23, G13 を考慮するタイプのシェル (Mindlin シェル要素) ですが、簡単化のために入れていません。これはソリッド用の例題を作るときに入れたいと思います。

本例題モデルでは、このようになっています。

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こちらが、真応力ー公称ひずみグラフです。X 軸を公称ひずみにしたのは、節点の変位量から求めたからです。こういうのは、おおよそ合っていることが重要ですので、要素のひずみをしっかり見なくても、十分だと思います。どの直線も、おおよそ入力した弾性係数になっていることが確認できます。

image.png

2, 降伏応力を追加する例題(応力拡大のない塑性)

ダウンロード:

線形弾性が終わったら、そこで応力が頭打ちになるような、降伏応力が拡大しない塑性の定義方法を理解していきましょう。

先ほどの例題に、次の部分を追加します。

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S01: 材料1 方向、引張の初期降伏応力

S02: 材料2方向、引張の初期降伏応力

S03: せん断応力 τ12 の初期降伏応力

S04: 材料1 方向、圧縮の初期降伏応力

S05: 材料2 方向、圧縮の初期降伏応力

本例題モデルでは、先ほどの材料に、このように追加しています。

image.png

こちらが SS カーブの結果です。

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3, 応力の拡大を追加する例題

ダウンロード:

先ほどの例題に A01 ~ C05 を追加します。

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添え字の数字は先ほどと同じく

  • 01: 材料 1方向、引張
  • 02: 材料 2方向、引張
  • 03: せん断
  • 04: 材料 1方向、圧縮
  • 05: 材料 2方向、圧縮

を示します。

A, B, C はこの式の係数です。S は先ほどの演習で追加した初期降伏応力です。

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ややこしく感じるかもしれませんが、それぞれの項は、このような曲線(直線)ですから、単純にそれらを組み合わせたような形での表現となるだけです。

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重ね合わせるとこのような感じになるでしょう。

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この例題モデルではこのように入れてあります。

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SS カーブはこうなりました。

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Comments

  • altair_fukuoka
    altair_fukuoka
    Altair Employee

    ソリッド編はこちらです。

    https://community.altair.com/discussion/62691/