/RBE3 に節点移動系の拘束条件を付けても動かないという例題

始めに

Radioss には /RBE3 という、見た感じは剛体なのに、結合している節点が自由に動くことができる、拘束条件があります。

2節点間の相対移動量を示しています。拘束されてるなら 0 のはずですが、変化することができています。

真ん中の節点に力を入れると、つながっている節点を拘束せずに、いい感じに力を割り振るので、(荷重)伝達要素などと呼ばれることもあり、荷重点に良く使われています。

ただし、なぜ、拘束条件なのに、つながっている節点が自由に動けるのか、ここを理解していないと、思わぬ落とし穴にはまりますので、本例題をそれを説明する例題です。

ちなみに RBE3 というのは、ある大変有名なソルバーがつけた名前でして、OptiStruct にもそのまま RBE3 として存在します。それが Radioss に来るとき、Radioss もそのままの名前が採用されています。

/RBE3 の仕組み。拘束してるのは誰?されたのは誰?

一般的な剛体、Radioss なら /RBODY などの方を先に知ることが多いですし、私的には視覚的にもそうなっていると思うのですが、ぱっと見た場合、この真ん中の節点が、周りの節点を拘束している、と感じると思います。

しかし実は、周りの節点が、真ん中の節点を拘束しているのです。

真ん中の節点の変位ベクトルを U0, 他の変位ベクトルを U1, U2, ,,, とすると、

U0 = (U1+U2+U3+,,,)/N (Nは周りにつながっている節点数)

という拘束が真ん中の節点に与えられています。周りの節点同士は、何の拘束もないため自由に変形できて、一見何の拘束も働かなかったように見えますが、実は、真ん中の節点は無理やりその位置に移動させられていたのです。

なんとなく動いていた /RBE3 も実は

  • 周りの節点に力を分配する
  • 周りの節点がその力や、周りの要素の影響などで移動する
  • その平均移動位置に、強制変位させられる
  • 最初に戻る

ということが繰り返されていた結果だったのです。

節点自由度拘束系の条件を与えても動かない例題

例題モデル:

こちらは /RBE3 の真ん中に /IMPDISP 強制変位を与えています。

しかし /IMP{VEL,DISP,ACC}, /BCS や /INIVEL (*1) などを与えても、思ったように、動きません。というよりも、/RBE3 の拘束により、拘束されているので、動けません。

/RBE3 はあくまで、力を伝えるためだけに利用するのが、前提の機能といえるでしょう。

*1) /INIVEL 初速は、拘束条件ではなく荷重ではないか、という意見があると思います。しかし最初のサイクル 0 だけで考えれば、強制的にその速度を与えるということで、拘束条件と言えます。

おまけ

あれ?ほかのソルバーで拘束条件入れてたよ。普通に動いていたよ。という方も居るのではないでしょうか?おそらく、本問題は OptiStruct なら動きます (執筆時点でまだ試していないですが)。これについては、また別の記事で触れたいと思います。

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