始めに
本記事では、TYPE25 接触を通じた熱伝達の設定方法を、2要素のシンプルなモデルを用いて説明します。
必要な設定
接触 /INTER/TYPE25 は下図のように、通常の接触定義と熱伝達向けの定義が必要です。通常の接触定義は入門トレーニング資料の 2.6節を参照してください→リンク。
熱伝達向けの定義では、
Ithe=1: 熱伝達の有効化
Ithe_form=1: 接触する双方の温度を考慮
Kthe: 熱伝達係数
を指定します。
また、接触する物体側の材料で、熱伝導計算を有効化しておく必要があります。/HEAT/MAT カードを普段の /MAT カードにくっつける形で使用します。
通常、熱力学的な特性は m, kg, s の単位系で得られることが多いですが、構造問題では mm, ton, s などが利用されているので、単位変換に気を付けてください。おそらく次の記事が役に立つと思います。
また、注意点が 3点あります。
- 一般的に比熱は、質量当たりの値が得られますが、RHO0_CP は体積当たりの比熱です。ですので、RHO0_CP = 比熱 x 密度 とします。
- 温度は K とします。この記事の範囲では、実は℃ でも問題ないのですが、状態方程式などは K を前提としてプログラムが構築されているため、普段から常に K で実施しておく方が何かと確実です。
- あくまで接触設定の中の一機能ですので、接触が起きなければ熱伝達はしません。押し付けるなど、必ず接触を発生させる必要があります。
エンジンファイルでの出力要求は /H3D/NODA/TEMP が良いかと思います。
2要素の例題モデル
下図のようなモデルを作ってみました。分かりやすくするために、物体自体が初期温度を持っているだけで、外部からの熱の流入出はありません。
このような結果が得られます。見やすくなるようにレジェンドは変更してあります。
例題モデルのダウンロードはこちら: