国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト PLATEAU を電波伝搬シミュレーションに活用
国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト PLATEAU を電波伝搬シミュレーションに活用
高精度な電波伝搬シミュレーションを実施する上で必要となる3D都市モデルはこれまでなかなか自由に入手・活用することが難しい状況にありました。しかし、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクトであるPLATEAU(PLATEAU [プラトー] | 国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクト (mlit.go.jp) )で、2021年ごろから3D都市モデルがG空間情報センター(https://front.geospatial.jp )にて、オープンデータとして公開され始めました。そして、PLATEAUプロジェクトで公開される3D都市モデルのデータフォーマットは"CityGML"という形式を採用しています。
Altair Feko 2022.2でCityGMLのインポート機能が搭載され、PLATEAUプロジェクトのオープンデータがより活用しやすくなりましたので、この記事ではPLATEAUプロジェクトのオープンデータを電波伝搬シミュレーションに利用するためのデータインポートまでをご紹介したいと思います。
Altair Feko 2022.2でCityGMLのインポート機能を搭載
CityGMLを直接読み込みの機能はversion 2022.2から搭載されていますので、Altair Feko 2022.2以上のversionをダウンロード・インストールしてください。
PLATEAUプロジェクトのオープンデータの準備
PLATEAUプロジェクトのオープンデータは、G空間情報センターにありますが、該当する地域のデータにたどり着くには下記の方法があります。(2022年12月時点)
- G空間情報センター(https://front.geospatial.jp )から探す。
- PLATEAU VIEW (PLATEAU VIEW(Ver1.1) (mlit.go.jp))から対応するG空間情報センターのページにジャンプ。
G空間情報センターから探す方法
https://front.geospatial.jp へアクセスし、"データを探す"のキーワード検索で、"PLATEAU"と入力することで、PLATEAU関連のデータセットの一覧が表示されます。
PLATEAU VIEWから対応するG空間情報センターのページにジャンプする方法
PLATEAU VIEW(Ver1.1) (mlit.go.jp) へアクセスし、"Add data"ボタンをクリックします。表示されたPLATEAUデータセットの一覧からご所望の地域のデータをPLATEAU VIEWに表示させます。データを表示させた後、左側のDATA SETのリスト内に、"オープンデータを入手"というボタンが表示されていますので、クリックすると、そのデータに対応したG空間情報センターのページにジャンプすることができます。
利用したいオープンデータのCityGMLをダウンロードしておきます。地域によってはCityGML以外にも、OBJ形式でデータを公開している場合もあります。電波伝搬シミュレーションを実施する場合、このOBJ形式でも対応することは可能です。
CityGMLファイルのインポート
すでにAltair Feko(旧名称:Altair WinProp)で電波伝搬シミュレーションを実施したことがある場合はすでにご存じの通り、WallManを利用してデータベースへ変換する作業をおこないます。2022.2の場合、下図のようにFileメニュー > Convert Urban Database > Vector Databaseの順にクリックします。
Format of source fileの項目のSelection of import filter:でCityGMLを選択します。PLATEAUで公開されているオープンデータのCityGMLでは、座標が緯度経度で記載されているので、Coordinates of original databaseの項目でGeodetic Coordinates (Longitude, Latitude)を選択し、OKをクリックします。
注:PLATEAUで公開されているオープンデータのCityGMLの仕様については、
3D都市モデル標準製品仕様書 (mlit.go.jp)
をご覧ください。Libraries | 資料ライブラリー | PLATEAU [プラトー] (mlit.go.jp) にも各種資料がございます。
インポートするファイルを選択する画面が現れますので、所望のファイルを選択しOKをクリックします。ご覧のようにファイル名の始めの8桁の数字が地域メッシュの番号を表しています。読み込みたいエリアの地域メッシュの番号を調べるには、地理院地図 / GSI Maps|国土地理院 が便利です。
続いて現れる画面で保存するデータベース名を入力し保存をクリックします。
Parameter for Urban Conversion画面にて、建物の高さをどの属性から取得するかを選択します。bldg:measuredheightが、計測により取得した建築物の地上の最低点から最高点までの高さ(単位はm)なのでこれを選択します。もし属性ごとに材料物性などを変更したい場合は、Materialsの項目で、Assign each value of selected property different material propertiesボタンを選択し、材料物性を分ける基準として利用したい属性を選択します。ここでは一例として、bldg:usage (建築物の主な使い道) を利用して材料物性を分けれるように読み込んでみます。
読み込んでみると、下図のようにそれぞれの建築物の主な使い道(bldg:usage)別にグループ分けされていることがわかります。このようにPLATEAUで公開されているオープンデータで電波伝搬に影響を与えそうな属性が入っていれば、それを利用してグループ分けし、グループごとに設定を変更することができるので大変便利です。
まとめ
この記事では、PLATEAUで公開されているオープンデータを電波伝搬シミュレーションに活用するためのインポートまでの流れをご覧いただきました。Altair Feko 2022.2 (以上のversion)をご利用いただくと、とても簡単にCityGMLを利用できることができ、より電波伝搬シミュレーションが簡単におこなえるようになることがお分かりいただけたかと思います。
弊社では、PLATEAUを活用した下記のプロジェクトに参加しており、ここでご紹介した電波伝搬シミュレーション以外にも熱流体シミュレーションへの活用ノウハウも持っております。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
ローカル5G電波シミュレーションを活かした基地局配置計画 | Use Case | PLATEAU [プラトー] (mlit.go.jp)
3D都市モデルを活用した気候変動影響シミュレーション | Use Case | PLATEAU [プラトー] (mlit.go.jp)
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