材料モデルの検証方法
始めに
本記事では、自分で設定した材料カード (/MAT/xxxxx) が正しいのかどうか、どのように検証するとよいのか、について語ります。
避けるべきこと: 実モデルで検証する
いきなり実モデルで検証してしまうと、問題が出たときに、本当の原因をつかむことができません。
例えばですが、本当はモデルの荷重条件に不備があるのに、材料が問題だ、と思い込んでしまったとしましょう。そうすると、極端な話、原理的には問題を解決することは不可能になってしまいます。
大事なこと: 1要素モデルで行う
材料カードが決めているのは、要素のひずみと応力の関係です。ですので、思った通りに動いているかどうかは、要素単位で確認する必要があります。
検証は次のようなモデルで行います。このモデルは単軸の引張応力場、つまり σxx 以外は(ほぼ)0 という分かりやすい状態になります。
ここで使うべき要素は 4角形シェル QEPH、ヘキサ要素 HEPH または 2次テトラ要素です。なぜならこれらは癖のない、精度の高い要素だからです。そのほかの癖の強い要素を使ってしまうと、問題があった場合に、材料設定の問題なのか選んだ要素の問題なのか分かりません。なお、テトラの場合、立方体にメッシュを切るため、6要素モデルとなります。
要素タイプについては定期トレーニング
https://learn.altair.com/course/view.php?id=357
4角形シェル QEPH: 1.3.2 節
ヘキサ要素 HEPH, 2次テトラ要素: 2.4.1 節
ここで問題があった場合は次の可能性があります。
- 数値の入力間違い
- 材料定義方法を勘違いしている
- もともとの実験値など参照している値が、物理的におかしくて、変な数値が出てきてしまっている
- バグ
逆にここで問題が無く、実モデルで問題が出た場合、
- 材料以外の、境界条件、荷重条件、接触、時間ステップ、要素品質、要素タイプなどに問題がある
- そもそも選択した材料が製品の材料と異なっている
- 材料以外のバグ
「急がば回れ」の通り、問題解決の最短の道は、一つ一つ問題を潰していくことです。いきなり実モデルを回し切りたい気持ちを抑えて、ぜひ、材料検証は 1要素モデルで行ってみてください。