ヘルムホルツ共鳴サンプル
はじめに
ヘルムホルツ共鳴は、開口部を持った容器の内部にある空気がばね、管部の空気がマスとなり、共鳴(共振)する現象です。
びんの口を横から吹いたときに出る音や、楽器(管楽器、ギターなど)で確認できます。また、車やバイクの排気音、タイヤの走行音などを減らすことにも利用されます。
以下はヘルムホルツ共鳴をOptiStructで再現するサンプルモデル (右側の添付ファイルHelmholz_sample.zip)の説明です。
解析モデル
以下のような形状で、空気をソリッド要素、上部の空気に無反射境界要素を作成します。
菅の上部にはある程度の体積の空気を球としておいています。これがないと開口端補正がずれてしまい、共振周波数も理論値からはずれます。
無反射境界のプロパティ
PAABSF 2 2 3
無反射境界の音響インピーダンスの実部(2)と虚部(3)
TABLED1 2
+ 0.0 4.1-7100000.0 4.1-7ENDT
TABLED1 3
+ 0.0 0.0100000.0 0.0ENDT
空気のプロパティと材料特性
PSOLID 1 1 PFLUID
MAT10 1 1.2-12 340000.00.02
解析対象周波数 1~100Hzを1Hzきざみ
FREQ1 1 1.0 1.0 99
音響加振
ACSRCE 1 2 1 1.2-12 0.14
SLOAD 2 173767 1.0
TABLED4 1 0.0 1.0 0.0 1000.0
+ 0.0 0.05.659-18ENDT
直接法の周波数応答解析
SUBCASE 1
LABEL DFREQ
ANALYSIS DFREQ
FREQUENCY = 1
DLOAD = 1
PRESSURE(H3D) = ALL
解析結果
参考リンクの理論式で開口端補正をフランジがないL+1.5aとするとヘルムホルツ共鳴の共振周波数は52.2Hzとなります。
C: 音速, S: 菅の断面積, Vo: 空洞の体積, L: 菅の長さ, a: 菅の半径
音速 | 菅の断面積 | 空洞の体積 | 菅の長さ | 開口端補正 開口部の半径の1.5倍 | 共振周波数 |
Vo [mm/sec] | S [mm2] | V0 [mm3] | L [mm] | 1.5a [mm] | f [Hz] |
340000 | 100 | 1000000 | 100 | 7.5 | 52.2 |
以下のようにOptiStructでよく再現できています。
OptiStructのMETHOD(FLUID)とした固有値解析では、閉空間の固有周波数が出るため、ヘルムホルツ共鳴の共振周波数はでてきません。
ヘルムホルツ共鳴の共振周波数を見るためには無反射境界要素(または無限境界要素)を使ったモデルで周波数応答解析をする必要があります。