Inspire + HyperStudyでさらに高度な設計探索を行えます!

 

初めに

Inspireの設計探索機能を用いれば変位や応力を応答に、最適な寸法値を取得することができます。
さらにジオメトリ駆動型なので、メッシュモーフィングによる変形と比較して様々なことを行うことができます。
Inspire と SimSolid のコラボで設計探索が大変身近になりました
Inspireの設計探索機能でスナップの最適化を実行する

ただし、接触圧力といったそれ以外のものを応答としてみたい場合やさらに高度な実験計画法を行いたい場合、応答局面を作成したい場合はどうすればよいでしょうか。
その際はHyperStudyとInspire を連携することで様々なことを行うことができます。
ここではInspireとHyperStudyを連携させる方法をご説明いたします。(Inspireの設計探索機能はHyperStudyが裏で動いていますが)
(画像をクリックすると拡大します。)

資料のダウンロード

InspireとHyperStudyを接続するためのガイドの資料になります。
Inspire + HyperStudy の What, Why and How_2022-03-04_0-27.pdf

使用するモデルファイルになります。
Inspire+HyperStudy_sample.zip

なぜInspire?

Inspireはジオメトリ駆動型のモデル変更が行えます。HyperWorksのようにモーフィングでジオメトリを変更させません。
したがってHyperWorksとHyperStudyを組み合わせる、メッシュモーフィングを用いた設計探索に比べて以下のような利点があります。

  • 大きな変形が可能
    メッシュモーフィングの場合、大きな形状変更を行うとメッシュがつぶれてしまい、計算精度が落ちて計算が出来なくなる場合もあります。
    Inspireの場合は、CADモデルを変更するのでメッシュ品質には影響がありません。
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  • トポロジーの変更が可能
    メッシュモーフィングの場合は、形状フィーチャの寸法を変更することが可能ですが、フィーチャーの追加・削除が不可能です。
    ボルト・ねじ穴の数を変更、補強リブの数の変更、などが可能になります。
    リブの数をパラメトリックに変化させるには→Inspireのパラメトリックモデリングでリブを作成する
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  • 結果はすぐに使えるCADデータ
    メッシュモーフィングの場合は最適化の結果が反映されたメッシュデータですが、Inspireの場合はパラメータ付きのCADデータです。
    このデータをParasolid,STEP, IGES,などの形式に出力が出来ます。
    なお、パラメータの値だけを従来のCADソフトウェアにも反映させることも可能です。したがって、手間いらずです。
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    InspireのメッシャーはHyperMeshとSimLabになります。詳細はこちら→Inspireのメッシュ作成について

  • SimSolidソルバーで高速繰り返し計算を行い、より多くのデザインを検討することが可能
    Inspire に搭載されているSimSolid ソルバーで計算時間を短縮し、より数が多い変数の問題を扱うことが可能になります。
    メッシュ作成処理に時間がかかる複雑なモデルにも対応できます。
    InspireのSimSolidソルバーの注意点はこちら→InspireのSimSolidソルバーを使用する際の注意点

  • モーション解析で機構の形状最適化が可能
    モーションモデルの形状(ジョイント位置、など)だけではなく、モーターとアクチュエータの入力や、
    ばね要素の特性なども変数として定義が出来ます。
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  • 複数の条件でさらに高度な最適化が可能
    目標質量、最小・最大部材寸法、形状コントール、などの条件を変更し、最も適切な最適化計算のパラメータを検討することが出来ます。
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  • AIアルゴリズムの学習データを自動で作成することが可能
    HyperStudyのDOE機能を組み合わせ、機械学習ソフトウェアKnoledgeWorks用の学習データを作成することが出来ます。
    学習データから算出されて予測モデルをHyperStudyにインポートし、最適化を実施することが可能です。

InspireとHyperStudyを接続する流れ

以下の画像のような流れになります。
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以下のものが必要です
パラメータ定義済みのInspireモデル、Pythonスクリプト、バッチスクリプト
では実際に、InspireとHyperStudyをつなげてみます。

添付モデルの説明とモデルの準備

まずダウンロードした「Inspire+HyperStudy.zip」ファイルを解凍し、書き込み権限のあるフォルダに置きます。
中身を確認すると以下3つのファイルがあることが確認できます。
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デスクトップに「batch_run_2022.3」というフォルダを作成し、上記3つのファイルを配置します。
配置したら各ファイルを確認します。

・block.stmod

以下のような単純なモデル(block.stmod)を取り扱います。端面完全固定、端面荷重付与の片持ち梁です。
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上記三つの寸法を変化させます。以下のように変数として定義されています。
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質量、変位、応力を応答にとりDOE(設計探索)を行います。

・update_varaibles_and_run_getMinMax.py

InspireではPythonAPIで自動化することが可能です。そのためのPythonスクリプトになります。
block.stmodを読み込み→変数値をアップデート→OptiStruct解析を実行→res.txtに結果値を出力というスクリプトになります。
以下に簡単な解説をします。
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したがってblock.stmodのパスを配置したディレクトリに従い、以下のように編集します。
filePath = "C:/Users/akagawa/Desktop/batch_run_2022.3/block.stmod"

また、以下画像からPythonAPIのサンプルスクリプトにアクセスできます。
是非プログラムを自作してみてください。
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・run_inspire_2022.3.bat

解析を実行するbatファイルになります。必要に応じてインストールフォルダのパスを変更します。
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HyperStudyでの準備

zipファイルに同梱されているpdfファイル、もしくは以下動画をご確認ください。



今回はスタディのセットアップまで行いました。
HyperStudyについてさらに学びたい方は→HyperStudy 2021 入門 トレーニングビデオ
※ログインが必要です。

もっと高度な使い方

また、Inspireのジオメトリ駆動の利点を生かして、EDEMを用いた粉体機器の最適化も行えます。
バルク体混合最適化のための機械学習とシミュレーションの組み合わせ