アワーグラスモードを見てみよう、そして回避しよう

altair_fukuoka
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Altair Employee

Radioss (だけではないですが) が使っている四角形シェル要素、ヘキサ要素は、低減積分という技術が使われています。低減積分要素では、一つの要素に一つの積分点しかありません。これがどういう悪さを起こしてきたかということを、ざっくりと説明します。過去形で書いたのは今は対策があるからです。それは後述します。


説明と実演

Radioss 要素のひずみを計算しようとします。これは面積の変化として計測できます。


つぎに Radioss はひずみから応力を計算するのですが、もし、次のように台形に変形していたらどうなるでしょうか?

面積が変わらない = ひずみが 0 と考えるので、Radioss は、ひずみがゼロなら応力も 0 と考えます。逆に言うと、台形への変化なら、何の力も入れずに、いくらでも変形できてしまうわけです。

これがつながると砂時計  (Hourglass) に見えることからアワーグラスモードと呼ばれます。


ちなみに、計算コストを犠牲にする完全積分要素 (要素角当たりに積分点がある) の場合、アワーグラスは発生しません。


では、ポンチ絵ではなくて、実際にやってみます。

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とこうなります。

変形もおかしいのですが、エネルギー履歴でも Houerglass エネルギーなるおかしなエネルギーが支配的になっています。これは Hourglass  モードを止めようとした(一応止めようとはしてるんです、それでもこの状態です)エネルギーですので、これでは一体なんのシミュレーションをしたんだかわかりません。

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再現モデルも添付しておきます。


回避策

では回避策をお伝えします。簡単です。シェルプロパティ /PROP/SHELL の Ishell=24, ソリッドプロパティ /PROP/SOLID の Isolid=24 とするだけです。これらの 24番の要素はそれぞれ QEPH, HEPH とも呼ばれます。せっかくなので、先ほどの再現モデルを変更して本当に修正されるのか、確認してください。


HyperWorks での手順は Radioss 入門トレーニング 1.3, 2.4 節で説明しています。

https://community.altair.com/community?id=kb_article_view&sys_kb_id=111484f01b75fc50c4dfdbd9dc4bcbd4

https://community.altair.com/community?id=kb_article_view&sys_kb_id=3655487c1b75fc50c4dfdbd9dc4bcb72