Radioss に MultiScale Designer を組み合わせることで、引張りと圧縮で弾性係数を変化させる方法をお伝えします

altair_fukuoka
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Altair Employee

Radioss 自身にも段ボール向けの /MAT/LAW112 材料で、厚み方向の弾性係数 E3 を圧縮と引張りで変えることができるのですが、汎用的で簡単に使える材料ではないので、MultiScale Designer との組み合わせで行う方法を、本記事で例を示しながら説明します。


MultiScale Designer の設定

簡単な例として、次のようなシングルスケールモデルとします。

MultiScale Designer シングルスケール選択


MultiScale Designer の設定

この特性をグラフにするとこうなります。

応力ひずみ線図


MultiScale Designer で作成した材料を Radioss で使う方法は、次の演習書を参照してください。

https://community.altair.com/community?sys_kb_id=2b5515a8db73f890cfd5f6a4e2961907&id=kb_article_view&sysparm_rank=1&sysparm_tsqueryId=0058e35cdbf14910cfd5f6a4e29619fa


Radioss のモデルと結果

Radioss では、次のように引張りと圧縮用に 1要素ずつ用意して、20% の引張りまたは圧縮を掛けます。

Radioss モデル説明図


アニメーションでは分かりにくいかも知れないですが、圧縮は常に引張りよりも応力が小さくなっています。

Radioss アニメーション


SS 線図にしてみると良くわかります。設定通りになっています。

image


本書の再現には、例題データ.7z をご利用ください。


ポアソン比に関する注意

MulstiScale Designer では、圧縮側のポアソン比 νc を

νc = Ec/E * (1+ν) - 1

とします。材料力学的な限界として -1 < νc < 0.5 である必要がありますが、より一般的な 0 < νc < 0.5 で考えると、

E/(1+ν) < Ec < 1.5 E / (1+ν) 

である必要があります。一般的な ν=0.3 で考えると Ec は E の 0.77~1.15 倍程度が、利用可能範囲となります。