Radioss に MultiScale Designer を組み合わせることで、引張りと圧縮で弾性係数を変化させる方法をお伝えします
altair_fukuoka
Altair Employee
Radioss 自身にも段ボール向けの /MAT/LAW112 材料で、厚み方向の弾性係数 E3 を圧縮と引張りで変えることができるのですが、汎用的で簡単に使える材料ではないので、MultiScale Designer との組み合わせで行う方法を、本記事で例を示しながら説明します。
MultiScale Designer の設定
簡単な例として、次のようなシングルスケールモデルとします。
この特性をグラフにするとこうなります。
MultiScale Designer で作成した材料を Radioss で使う方法は、次の演習書を参照してください。
Radioss のモデルと結果
Radioss では、次のように引張りと圧縮用に 1要素ずつ用意して、20% の引張りまたは圧縮を掛けます。
アニメーションでは分かりにくいかも知れないですが、圧縮は常に引張りよりも応力が小さくなっています。
SS 線図にしてみると良くわかります。設定通りになっています。
本書の再現には、例題データ.7z をご利用ください。
ポアソン比に関する注意
MulstiScale Designer では、圧縮側のポアソン比 νc を
νc = Ec/E * (1+ν) - 1
とします。材料力学的な限界として -1 < νc < 0.5 である必要がありますが、より一般的な 0 < νc < 0.5 で考えると、
E/(1+ν) < Ec < 1.5 E / (1+ν)
である必要があります。一般的な ν=0.3 で考えると Ec は E の 0.77~1.15 倍程度が、利用可能範囲となります。
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