Inspireの質量最小化計算時の応力制約について

N_Akagawa
N_Akagawa
Altair Employee

Inspireでは質量最小化計算において応力制約を定義することができます。

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こちらはVonMises 応力の降伏応力に対する安全率となります。
この応力制約がどのように動作するか説明します。

Inspireのトポロジー最適化では以下の3方法で応力制約を設定することが出来ます:

  • Global(デフォルト)
    デフォルトでは、応力制約がすべてのパート(設計領域と非設計領域)に適用され、応力集中や、荷重と拘束条件付近の部分の応力が無視されます。
    このため、応力計算の精度は高いといえませんが、最適化の収束性は良いです。
    なお、アセンブリ中に異なる材料がある場合は、最大応力制約値は一番弱い材料の降伏応力値で計算されます。
    例えば、降伏応力が 100MPa と 200MPa の材料が存在する場合は、最小安全係数を 1.2 に設定すると最大応力の制約値が 100/1.2 = 83MPaとなり、この制約値は降伏応力 200MPa の材料のパートにも適用されます。

  • LocalDesignSpaces
    この方法では、設計領域パートのみに応力制約が適用されます。
    材料が異なる複数の設計領域が存在する場合は、各材料の降伏応力を考慮し、最大応力制約値が設定されます。
    なお、応力集中が無視されないため収束性が悪くなり、計算時間が長くある可能性があります。

  • LocalAllParts
    この場合は、応力制約がすべてのパート(設計領域と非設計領域)に適用されます。
    LocalDesignSpaces と同じように材料が異なる複数の設計領域が存在する場合は、各材料の降伏応力を考慮し、最大応力制約値が設定されます。
    LocalDesignSpaces よりも制約が適用される要素の数が多くなるため、最適化の収束性と計算時間に注意が必要となります。

この設定はインストールディレクトリの/hwx/config/freedom/devPreference.xmlで行えます。
以下はv2022.3での例です。
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※こちらのコンフィグファイルを変更する際は、もとのxmlファイルをコピーして残しておきます。

また、Inspireの応力コンター表示は節点応力となります。
最適化計算は要素応力を使用するため、要素応力を確認するには以下のように実行フォルダ中のH3DファイルをHyperViewで確認します。
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