電波伝搬シミュレーション結果をQGISを利用して表示する方法
この記事では、電波伝搬シミュレーション結果をQGISを利用して表示する方法について記載をしています。
QGISにつては弊社のツールではないので、操作のサポートなどは行えませんが、結果活用のヒントになれば幸いです。
QGISは地理空間情報データの閲覧、編集、分析機能を持つオープンソースソフトウェアです。様々な分析機能も持っているので、電波伝搬シミュレーション結果の可視化だけでなく分析にも活用できると思います。
電波伝搬シミュレーションは弊社のAltair Fekoに搭載されているWinPropで実施することが可能です。
電波伝搬シミュレーション(WinProp)での準備
結果ファイルのテキスト形式での保存設定
電波伝搬シミュレーション結果をQGISで読み込むには、シミュレーション結果をテキスト形式で保存する設定をして、シミュレーションを実行する必要があります。その設定箇所は、ProjectメニューのEdit Project Parameter...から表示される画面でおこないます。
PropagationタブのOutput Directory項目にある、Additional Output of Results in ASCII filesにチェックを入れます。
このチェックを入れて、伝搬シミュレーションを実施すると、結果ファイルがテキスト形式でも保存されます。
内容は、下図のように、アンテナの位置や向いている方向、出力などの情報が記載された後に、x座標、y座標、受信電力のように記載をされます。
この記載はversionやシナリオ、結果内容によって異なる可能性がありますが、x座標、y座標、値の並びがあれば、それをQGISで読むことは可能です。
座標系の確認
QGISに読み込む際に、x座標、y座標はどの座標系で記載されたものかを指定する必要があります。そのためには電波伝搬シミュレーションがどの座標系で実施されたかを調べる必要があります。調べ方は、ボタンから調べられます。下図の例ですと、UTM Zone が54 Northであることがわかります。
QGISでの読み込み方
Open street mapを表示
重ね書きする地図をはじめに表示しておきます。
CSVテキストレイヤを追加
テキスト形式のデータを読み込むためのレイヤを追加します。
データを読み込む際の設定は下記の通りです。
追加をクリックすると、座標変換の選択を促されますが、詳しくはよくわからないので、とりあえず一番上のものを選択してOKをします。
作成されたレイヤを右クリックし、レイヤの領域にズームをクリックすると、読み込んだファイルの場所にズームされます。
読み込んだデータのラスタ化
読み込んだデータはベクトルデータとして保存されていて、このままでは少し結果を読みにくいこともありますので、ラスタ化しておきます。
設定は下図のように設定しておきます。解像度については電波伝搬シミュレーションで実施した解像度をここに適用します。
この際に重要なのは、テキストデータにはN.C.と記載される、シミュレーション結果を数値として持っていない箇所の処理です。その設定は、入力レイヤオプションボタンから、下記のように、”不正なジオメトリの地物を無視”にしておきます。これを設定しないとエラーになってしまいました。
デフォルトではグレースケールで表示されると思いますので、レイヤのプロパティからシンボロジを選択して、レンダリングタイプを単バンド疑似カラーにするとカラーコンターにできます。下記はその一例です。
透明度を設定しておくと重ね書きした際に下地の地図も少し表示したいときに便利です。
QGISで表示した結果と、WinPropで表示した結果を比べてみますと、確かに同じ位置に表示できていることがわかりました。
QGISにデータを読み込めれば、あとはQGISの持つ分析機能を活用して各種分析を行うことが可能です。
以上となります。