振動ふるい機の処理能力を向上させるには

Kosuke_IKEDA
Kosuke_IKEDA
Altair Employee
edited June 2023 in Altair Exchange

Overview

振動ふるい機は、製薬、農業、食品/飲料産業で、dry-dry、wet-dryの混合粒子を分離するために広く使われています。
本記事では、円型振動ふるい機を対象に、Altairのシミュレーションにより、2つの粒子径の乾燥混合物を分離する作業を評価します。また、振動発生器の最適化により、ふるいの処理能力を向上させ、ふるい分け不良率を最小化できることを示します。

上記動画のように、ベースラインでは、残存粒子も多く、約3割の振り分け不良がありますが、振動発生器の最適化により、残存粒子がほぼゼロで、振り分け不良もゼロにすることができます。
image
本事例では、Altairのシミュレーション・ハイパフォーマンスコンピューティング・AI/データ分析技術が活用されています。

Pre-Requisite

本記事で使用したモデルはこちらよりダウンロードいただけます。

Altair SimulationのDesktop, Mechanical Solvers, Inspire, EDEMに加え、 EDEM-HyperStudy Connectorのインストールが必要です。

Usage/Installation Instructions

振動ふるい機がどのように機能するのか

混合物は上部のドラムに流し込まれます。ドラムの中にはメッシュスクリーンがあり、1つのサイズの粒子しか通過させることができません。
ドラムは数個のコイルスプリングによって支持されていますが、回転はしません。底面に取り付けられた振動発生器からの入力により振動します。
振動発生装置は、重りを取り付けた電気モータです。重りはモータ軸の上部と下部の2つです。
重りは、シャフトに対して半径方向に移動させることができ、また、互いの相対角度を変更することができます。これにより、水平方向、垂直方向、ピッチ・ロール回転の振動を発生させることができます。

image

 

ジオメトリ・マルチボディモデルの作成

Altair Inspireでジオメトリを作成できます。また、外部CADファイルのインポートも可能です。

さらに、モーション機能を用いるとジオメトリベースでマルチボディモデルを簡単に作成できます。

今回はドラムを支持するばねと振動発生器のモータをモデル化しています。

image

 

粒子のモデル化

Altair EDEMを用いると、離散要素のモデリング・シミュレーションが可能です。

今回は径の小さいPill粒子と径の大きいChunk粒子を生成しました。また、粒子同士の相互作用を定義しています。

image

image

 

 

マルチボディモデルのパラメータ化・粒子との連成設定

Altair Inspireで作成したマルチボディモデルをエクスポートし、Altair MotionViewに読み込むことで、詳細な設定が可能になります。

MotionViewの機能の1つとしてパラメータ化があります。振動発生器の重りの質量、シャフトからの距離、上下重りの相対角およびモータの回転数をパラメータ化し、簡単に条件を変更した計算が行えるようになります。

image

また、MotionViewにはAltair EDEMとの連成計算のセットアップ機能があります。

粒子と連成させたいMotionView上のジオメトリをEDEMに転送して、EDEM上でジオメトリと粒子の相互作用を定義できます。

image

 

Altair HyperStudyとの連携

Altair HyperStudyと連携させることで、Altair MotionSolveとAltair EDEMを用いた振動ふるい機の計算のDOE・最適化を行うことができます。

EDEM-HyperStudy Connectorを用いることで、EDEMのパラメータ化や連成計算の投入、Altairのクラウド環境Altair Unlimitedへの計算Job投入など簡単に実施可能です。

今回は、MotionSolve-EDEMの連成計算投入と、各Jobをクラウド環境に投入する機能を使用しました。

計算コストの高いEDEMの計算もクラウド上の並列Jobで短時間に、効率的に計算することが可能です。

image

 

DOEの実行

設計変数として、モータの回転数、重りの質量、重りの半径方向のオフセット量、上下重りの相対角の4つを選択しました。

また、応答として、大きい粒子Chunkのドラム内残数、小さい粒子Pillのドラム内残数、ふるい分けの不良率を選択しました。

image

実験計画法により25ケースのJobを生成し、クラウド環境で計算を実行しました。

image

結果、プロセス性能に対する感度が高いパラメータは何かなどを分析できます。

image

 

最適化

HyperStudyのFit機能を用いて、機械学習による応答曲面・予測モデルを生成できます。

image

この予測モデルを用いて、ドラム内の残粒子数が少なくかつ、ふるい分け不良率が最小となるパラメータを算出しました。

結果、モータ回転数を2000 RPM、重り質量を3 kg、上下重りの相対角を120°、重りの半径方向のオフセットを50 mmとすることで、粒子残量が少なく、ふるい不良率もゼロとなる性能の高いふるい機を実現できました。

image

 

 

Post-Requisite

使用製品:Altair MotionSolve/MotionViewAltair HyperStudyAltair EDEMAltair InspireAltair Unlimited 

よくあるエンジニアからの質問はこちら