設計パラメータを考慮した動的サロゲートモデルの作成
romAIを用いることで熱、電気、流体、機械など様々な物理現象に対し、少ない学習データで高精度な動的サロゲートモデルが作成できます。
romAIでは、以下の状態空間表現の微分方程式を同定しますので、学習には使用していない入力条件に対する応答でも精度良く再現できることが特徴です。
では、モデルが変更された場合はどうなるでしょうか?一般的には、学習データを取り直し、モデルを作り直すことになりますが、モデル情報(質量、寸法など)を入力u(t)として取り扱うことで、romAIでもモデル変更に対する応答を予測できる可能性があります。
テストモデル
多自由度ばねマスモデルで質量を変えた場合の応答がromAIで予測できるのか検証します。
このAltair ActivateのモデルはKnowledgeBaseで公開しております。自由度をパラメータ化しており、簡単に自由度数を変更できます。今回は自由度2で実施します。
https://community.altair.com/community/?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0117396
学習データの生成
質量、剛性、減衰は均一とします。
k=1 N/mm
c=0.001 Nsec/mm
として、m=0.2kg, 0.3kg, 0.4kgの3水準としました。
入力条件はスイープ加振です。
マス1の変位結果を示します。2自由度ですので、共振点が2個あり、質量が大きくなるに従って、共振周波数が低下する様子が確認できます。
学習データとして、下記のように準備しました。各マスの変位、速度と入力の変位、速度に加え、質量の情報を含めています。
romAIによる学習
入力を境界の変位、速度、質量
出力、状態量ともに、マス1、2の変位、速度とします。
romAI Directorでの設定は以下となります。
Inputs: xin, vin, m
Outputs: x(1), x(2), v(1), v(2)
States: x(1), x(2), v(1), v(2)
romAIの精度確認
学習に使用した条件
まずは、学習に使用した条件m=0.2, 0.3, 0.4kgの結果を理論解と比較します。romAIによる予測値は3ケースとも理論解と一致しており、学習がうまくいったことを示しています。
m=0.2kg
m=0.3kg
m=0.4kg
学習に使用していない条件:内挿
次に、学習には使用していない条件での予測精度を確認します。内挿域のm=0.25, 0.35kgの2ケースを確認しました。こちらもよく一致しており、精度の高いモデルが作成できたと判断します。
m=0.25kg
m=0.35kg
学習に使用していない条件:外挿
では、最後に外挿域m=0.15, 0.45kgの2ケースを見てみました。m=0.45kgの結果は良いですが、m=0.15kgの結果は理論解と乖離しています。romAIの共振位置はm=0.2kgの結果とほぼ同じに見えます。
m=0.15kg
m=0.45kg
結論
シンプルな2自由度ばねマスモデルを用いて、romAIに質量の設計パラメータを組み込むことができることが確認できました。内挿域は精度良く予測できていますが、外挿域では乖離がでますので、想定される最大、最小条件を学習データに含めていただく必要があります。
今回はシンプルな2自由度ばねマスモデルでしたが、パイプ径、パイプ長さを変えた流体解析のromAI化など、様々な応用が期待されます。
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本ブログで使用したモデルはKnowledgeBaseよりダウンロードいただけます。
https://community.altair.com/community/?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0122104
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