TaniqWind Design で設計した FRP タンクを OptiStruce と MultiScale Designer で評価する方法


はじめに

APA TaniqWind Design (長いので以下 Taniq とします) はフィラメントワインディング工法で作成する製品の巻き付け経路などを自動計算することなどにより、この工法で作成する製品の設計プロセスを支援するツールです。

Taniq による巻き付けパターン

 

Taniq は OptiStruct メッシュデータを作成できるので、Taniq で設計したものを、簡単に OptiStruct で評価できます。本記事では私が思いついた評価方法を2通り紹介します。

 

評価方法1: 線形静解析

Taniq は積層シェルモデルを出力します。材料は Taniq 側で設定したものが MAT9OR で書かれています。そのままでも良いのですが、積層シェルの場合 MAT8 を使うと、基準応力に対してどの程度危険かを示す破断指標値を出力できる (CFAILURE 出力要求) ので、MAT8 に置き換えるのが良いのではないかと思います。

また Taniq からのモデルには荷重・境界条件は入っていないので、別途追加します。また、必要なアセンブリ部品を追加するのも良いでしょう。

今回は、このような MAT8 材料に切り替えて、1MPa で膨らませてみました。

MAT8例

 

こんな風に応力を見ても良いと思います。材料的に 90度方向の応力が 2倍強の余裕で、他はもっと余裕がある感じです。

応力

 

どれくらいの余裕があるかは破壊指標値 (composite failure index) を見れば分かります。破壊指標が 1になったらアウトです。最大で 0.435 なので、2倍強の余裕があることが一目でわかりました。つまりこのタンクは 2MPa を十分に耐えることができそうです。

破壊指数

 

まずはこのような感じで線形解析による当たり付けを行うのが良いのではないでしょうか。

 

このモデルのダウンロード: 線形解析.7z

Taniq は Taniq インストール時に入っていた "C:\Program Files\Taniq\TaniqWind Design\Examples\PressureVessel.tpa" を使っています。

 

評価方法2: 非線形解析

先ほど 2MPa まで行けそうだなということなので、本当に行けるかどうか非線形解析で評価します。材料は MultiScale Designer で次の材料を作りました。実は線形解析のときの MAT8 もこの材料を見ながら作りました。

MD材料特性

 

加圧は 2MPa とし、形状非線形性も与えました。応力によると十分余裕がありそうです。

非線形解析応力

 

また MultiScale Designer で CFRP 材料を使う場合は、母材の塑性ひずみと繊維のダメージも評価できます。これらは線形範囲では 0 ですが、非線形範囲に入ってしまうと 0 より大きくなります。どうでしょうか。塑性もダメージも 0 なので、問題なく 2MPa に耐えることが分かりました。

塑性とダメージ

 

このモデルのダウンロードはこちら: 非線形withMD.7z

MultiScale Designer の入門書はこちら:

https://community.altair.com/community?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0113632

 

動画

ソフトウェア上でどんな作業をしていたのかを簡潔に動画にしました。あくまでヒントのみで、詳細な手順を示すためのものではないです。

 

まとめ

次のようなワークフローができるのではないかと思います。

 

アルテア公式製品リンク

https://www.altairjp.co.jp/taniqwind-design/

https://www.altairjp.co.jp/optistruct/

https://www.altairjp.co.jp/multiscale-designer/