射出成型解析を行ったモデルと、構造解析 Radioss モデルの向きが異なるときの対処方法


課題

こちらで、Inspire Mold 射出成型解析で繊維配向を取得し、MultiScale Designer 材料モデルを介して、 Radioss の構造解析で繊維配向を考慮したシミュレーションを行う方法をお伝えしています。

https://community.altair.com/community?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0113632



ただし、こちらでお伝えしている方法は、Inspire Mold モデルと Radioss モデルの向きが同じだったので、向きと言う物をほとんど気にしなかったのですが、次のようにモデルの向きが違うときはどうしたらよいのだろう、というのが今回のお題です。

モデルの向きが違うとき


答え

/PROP/SOL_ORTH に適用する /SKEW (座標系) を指定することで、解決します。今回の場合は、Z軸回りに 90度回転させて x軸が全体 Y 軸となる /SKEW を作れば大丈夫です。


では検証してみましょう.

MultiScale Designer は演習書と同じ材料で、次のような SS カーブになります。繊維が主体の方向には 160MPa くらい出ますが、90度回すと 70MPa くらいしか出ません。

MD材料SSカーブ


繊維配向テンソルは X 軸優位としています。

*Max elementID
1
*Number of fiber orientation tensor assignments
1
*Number of slices per element
15,2
*Fiber orientation tensors
1,1,1,0.9, 0.1, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0


対する RADIOSS モデルは次のようjになっています。

RDモデル


次の座標系を

/SKEW/FIX/1
#skew_title                                                                                         
global                                                                                              
# 座標系原点
#                 Ox                  Oy                  Oz
                 0.0                 0.0                 0.0
# ローカル Y 軸ベクトル
#                 X1                  Y1                  Z1
                -1.0                 0.0                 0.0
# ローカル Z軸ベクトル
#                 X2                  Y2                  Z2
                 0.0                 0.0                 1.0
# ローカル X軸は、Y cross Z で決まる


/PROP/SOL_ORTH の skew_id に割り当てます。

#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
##HWCOLOR properties 1 6
/PROP/SOL_ORTH/1
sol_orth                                                                                            
#   Isolid    Ismstr               Icpre  Itetra10     Inpts   Itetra4    Iframe                  Dn
        24                                                                                          
#                 qa                  qb                   h
                                                            
# skew_ID が先ほど作った座標系です
#                 Vx                  Vy                  Vz   skew_ID        Ip     Iorth
                                                                     1                    
#                Phi
                    
#         deltaT_min
                    
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|


応力とひずみを履歴プロット出力します。混乱しないように、全体座標系で出力します。

#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/TH/BRICK/1
stress_strain
STRESS    STRAIN
1
##--------------------------------------------------------------------------------------------------


では、ひずみの全体座標系 Y 軸成分 (T01 ファイルの EPSYY)  と応力の全体座標系 Y 軸成分 (T01 の SY) で SS カーブを描いてみます。向きが正しく変わっているなら 160MPa くらいまで上がるはずですし、変わっていないなら 70MPa くらいになるはずです。


無事正しいSSカーブに

はい、正しく向きを変えられたことが確認できました。


検証モデルダウンロード

testmodel.7z

HyperMesh 2022 で読み込むとインクルードファイルと _0001.rad ファイルが壊れるので注意してください(そのためにインクルードファイルで分離させています。)


アルテアジャパン公式製品リンク

https://www.altairjp.co.jp/multiscale-designer/

https://www.altairjp.co.jp/radioss/