Inspire Form (incremental) と HyperStudy を組み合わせることで、成型条件の検証、最適化が捗ります


概要

本記事では、Inspire Form と HyperStudy を組み合わせて使う方法、DOE によるサンプリング・要因分析、機械学習モデルの作成、最適化などの概要を説明します。


HyperStudy における Inspire Form モデルのセットアップ

Inspire Form は実際にはモデルセットアップの GUI を担当しているソフトウェアであり、実際のシミュレーションの計算は Radioss ソルバーで実施しています。Radioss が初めての方は、こちらの記事を参考に、始めて見てください。

Radioss を使い始めたいときは


Radioss と HyperStudy の連携には 3個の方法があります。

Radioss を HyperStudy でパラメータスタディ、最適化を行う 3 つの方法


Inspire Form が作成するエンジンファイル _0001.rad には、HyperWorks が対応していないカードが含まれるため、Inspire Form で作ったモデル → HyperWorks で読み込んで吐き出す、とすると _0001.rad が壊れてしまうことから、前述の記事の 2番目「Radioss 入力ファイル _0000.rad に記載されたパラメータを用いた連携」、または、3番目の方法 「Templex 命令を Radioss 入力ファイル _0000.rad に直接書き込む方法」 が扱い易いです。本記事では私が昔から使い慣れている 3番目の方法を選択しています。


詳細は HyperStudy 入門コースオンラインヘルプチュートリアル HS-1507 を参照ください。


今回は Inspire Form チュートリアル「Single Action Draw Simulation」 を題材に、上型とブランク、下型とブランク、バインダーとブランクの摩擦係数の 3パラメータを設計変数としました。最初にスターターファイル _0000.rad を HyperWorks に読み込んで、摩擦係数 (/INTER/TYPE** カードの Fric パラメータ) をパラメータ化して、_0000.rad ファイルを作り変えました。

HWパラメータ化作業


そして HyperStudy のエディタで HyperStudy の設計変数とします。

HStエディタ


HyperStudy ではこのように上限下限を設定してみました。摩擦係数 0 は現実にはありえないですが、架空のシミュレーションですので、OK にしてみました。 

設計変数


応答は FLD 指数値の最大値としました。ちなみに 1を超えてるので、割れるという判定です。

応答


DOE によるサンプリングと要因分析

MELS という手法で 30回のサンプリングを取りつつ、要因分析もしてみました。

MELS


上型とバインダの摩擦係数の影響が大きいことが分かりました。

要因分析


機械学習モデル付エクセルの作成

RBF というネットワークを使った機械学習予測モデルを作り

RBF作成


エクセルシート化してみました。

エクセル化


エクセル上で摩擦係数を変えるとどうなるか、簡単に予測できるようになります。

excel


最適化で FLD 値を最小化してみる

最後に GRSM という HyperStudy にて最も万能な最適化手法を用いて、FLD 値を最小化してみました。

GRSM


すると、0.72 まで下げることができました。(ただ、摩擦係数がおそらく非現実的な低さになっているので、このチュートリアルモデルは、摩擦の調整だけでどうにかなるものではなさそうです)

最適化結果


まとめ

ということを、本記事で示すことができました。

本記事に使ったファイルはこちら 確認用データ.7z です。設定ファイルのみです。