はじめに
Radioss では、接触した後、離れにくくするような手法が 3通りあります。この記事では、それぞれの手法ごとに、例題を提示します。
例題1, VISs による粘着性の表現
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例題では /INTER/TYPE25 を使っていますが、TYPE7, 11, 24 にも同じオプションがあります。この方法の利点は、どの接触タイプでも利用できることです。
使うのはこのオプションです。実は安定性も加味して、デフォルトで 0.05 が入っているため、知らず知らずのうちに使っています。
働きとしては、接触領域に侵入した節点に対して、移動方向とは別の向きの力を発生します。要は粘性力ですので Viscosity から VIS を取って VISs です。
粘性係数 C の決め方はこちらに書いてあります。ただし、式を見てどれくらい効果があるのか想像つくようなものではないですので、いろいろと試してみてください。なお、粘性は、瞬間的には剛性のようなものですので、あまり大きくしすぎると、時間ステップが目に見えて小さくなりますので、やりすぎに注意してください。
左が VISs=100 とし、右がデフォルト値での、接触圧力ベクトルです。右は単に、侵入の深さに応じて、跳ね返す力が出るだけですが、左は、侵入をやめようとする動きに対して、吸い付ける力を生じています。
例題2, TYPE25 の粘着機能 Ivis2=-1 による粘着
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/INTER/TYPE25 には、専用の粘着機能があります。
必要なのは次の 4 項目です。
いつもの接触領域を、2層に分けて、半分を接触領域、もう半分を粘着領域にしています。一度接触領域に入れば、粘着の対象になります。
垂直方向の粘着性ですが、応力 (SigMaxAdh) x 面積 x 割合となっているので、単純に、粘着の強さを応力にしておけば良いかと思います。単純に SigMaxAdh = 10MPa としておけば、10MPa より小さければ粘着層を脱出できず、10MPa を超えていれば脱出できる、となります。
横方向の粘着性は、速度に比例する粘性形式です。この式を見て、どの程度の大きさにすればよいか分かる方もそうそういないと思いますので、いろいろ試してみるということになると思います。
ViscAdhFact と ViscFluid は掛け算なので、粘着剤の動粘土 (ViscFluid) がわかっているなら、ViscAdhFact で調整ということで良いかと思います。
例題はこうなっています。垂直方向だけの例題なので、ViscFluid は入れていません。また、最初の例題の VISs の効果で、粘着層を移動しているときに、接触力が出てしまうので、VISs=1e-30 として、出ないようにしています。ただ、これは本例題で Ivis2=-1 の効果のみを見せるための処置ですので、普段は、気にしなくて良いです。
左は接触層まで侵入してから、元に戻しており、戻るときに吸い付く力が出ています。右は、接触層に届く前に戻しているため、何の力もでません (VISs があると、少し出ます)。
VISs を使う方法よりも、柔軟な設定ができるかと思いますが、TYPE25 限定です。
例題3, /INTER/TYPE10 による完全吸着
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/INTER/TYPE10 で ITIED=1 オプションを使うと、接触したあと、ずっと仮想バネが残り続けます。
このようにどれだけ離れても引きつけようとします。
一度接触したら、くっついたままでよい、という場合には、パラメータの調整も不要ですし、一番お手頃な手法だと思います。