始めに
本記事では、普通のシェル要素 (PSHELL) に対するフリー寸法最適化 (DSIZE) の例題です。
例題
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解析モデル自体は 100x100x板厚 mm に対する、片持ちばりです。板厚はフリー寸法最適化 (DSIZE) が決めます。単位系は ton, mm, s で行きます。
材料は E=2e5MPa, nu=0.3, ρ=8e-9 ton/mm^3 の鉄相当です。
最適化の条件は、次の通りです。最適化の設定自体は本記事の主眼ではないので、モデルをみてください。
そして本題の DSIZE カードの説明に入ります。PSHELL を使うときに必要な設定項目は次の通りです。
板厚上限 T1 が未入力だと、対象の PSHELL の板厚となります。PSHELL の板厚とは無関係に入力できます。
T0 を未入力にした場合、OptiStruct が適当に T1/100 くらいの数値にするようです。良い感じがしないのであれば、入力しましょう。
(板厚 0 は剛性ゼロ→変形量∞ですから、計算が成立しませんし、実際に結果は 0 にはなりません。この記述は誤りだと思います)
本例題では、このように最大板厚は 10mm で最小値は OptiStruct 任せ (結果を見ると 0.1mm でした) としました。
このように先がとがった結果になると思うのですが、どうなるか見てみましょう。
注意
OptiStruct のような陰解法(行列計算をガシガシ行う)の計算では、実は剛性の比率というのが大事になってきます。行列の中から 0 を探すということを考えた場合、数値演算なので、ちょうどぴったり 0 であることはほとんどなく、周りが 1000 くらいの数値が埋まっているのに、そこだけ 0.00001 とかだったら 0 として扱おう、という比較で成り立っています。
板厚をあまりに小さくしすぎると、OptiStruct はこう考えます。数学的な正しさよりもイメージを優先してますので、詳しい方はその辺りご理解いただければ幸いです。
- その周りと比べてあまりに剛性が小さいから、変位が無限になってしまう。計算が成り立たない。
- その節点の自由度を拘束してしまおう。
実際に、T0 = 1e-30mm として流してみるとわかりますが、この辺の自由度を止めてしまおうと言って、止めてしまっています。
このモデルは幸い、荷重点の自由度は止まりませんでしたが、もし荷重点の自由度を止められてしまうと、荷重点が全く変形しない、すごく剛な結果、という変な結果になります。
OptiStruct が行っているように 1/100 くらいの板厚にとどめておいて、本当の値は、そのメッシュを消して計算しなおしたり、形状を作り直したりする方が、間違いがないと思います。