始めに
本記事では OptiStruct の陽解法で、塑性ひずみを利用して要素を削除する例題を示します。
仕組み
塑性ひずみを基準につかうので、まずは、弾性材料の MAT1 に塑性材料の MATS1 を組み合わせた弾塑性材料を用意します。
MATS1 で降伏はしますが、MATS1 自体には要素を消すという機能はないため、その機能を持つ MATF も組み合わせます。F はおそらく Failure (破断) の意図だと思います。
MATS1 で決めたルールで塑性ひずみが進展し、MATF で決めた基準値に到達すると、その要素を削除します。
例題
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このような 1ヘキサモデルでの引張試験です。実は塑性ひずみ 0.2 で要素を削除しています。
本記事の説明は材料のところだけとします。ちなみに本記事の MATS1, MATF の記入方法には HyperMesh 2026 が未対応なので、インクルードファイルとしています。読み込んで書き出すと壊れるので注意してください。
材料はこのようになっています。MAT1 は線形特性, E=1000MPa, ν=0.3, ρ=1e-9 ton/mm-3 です。
次に MATS1 では降伏のルールとして Johnson-Cook 則を用いています。A=10MPa, B=20MPa, N=0.3 です。
A,B, N が次の式の a,b,n で εp は塑性ひずみです。
エクセルなどで計算してみるとわかりますが、こんな感じになります。初期降伏応力 A が分かってるだけの時でも、B, N を適当に決めるとなんとなくそれっぽくなるので、なんとなくでよいときには使いやすいです。
もちろん Johnson-Cook でなく、表を使ったものや、陰解法専用と書かれていない塑性モデルでも大丈夫です。
これで材料が降伏できるので、最後に MATF で破断(要素削除)の基準値を決めます。この例題での入力ルールはこちらです。基本的に要素を消したい塑性ひずみを指定するだけです。
MATF は様々な基準がありますが、まずは塑性ひずみで消してみるというところから始めてみてはいかがでしょう。