初めに
OptiStruct の接触 (CONTACT カード) を使っていると、なぜか、ふいに、ものすごい初期干渉として判定されてしまう時があります。
今回は、ものすごい初期干渉をしてしまうモデルを一つ提示し、なぜそうなってしまったのか、どういう回避方法があるのか、といったところを示します。
例題モデル
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このように2枚のシェル要素が重なっているモデルです。厚みがありすぎて初期干渉しているわけではありません。両方の板厚は 1mm で、隙間も 1mm あります。
HyperMesh で立体表示させるとちょうどつらつらです。
このモデルを実行すると、時刻 0 でとんでもない桁の接触力を見ることになります。単位系は ton, mm, s、シェル要素の材料は鉄で E=210000MPa で 10x10x1mm の板ですから、多少の誤差で初期判定になったとしても 2.0x10^8 N というのは異常です。
このモデルは次のような接触定義がされています。ここで注目は、ついつい MORIENT という謎の項目に NORM が入ってしまっていることです。
MORIENT=NORM とある場合、下の茶色の要素面は、法線方向をずっと見ていて、青い節点が近づいてきたら接触と判定するようになっています。
https://2025.help.altair.com/2025/hwsolvers/ja_jp/os/topics/solvers/os/contact_bulk_r.htm
(この文章からは少し想像しにくいですが)
一見よさそうですが、実は、このモデル、要素面は、こちらを向いています。つまり、茶色の要素面は、ずっと何もない方を見ているのです。
下の茶色の要素からすると、青い節点は、いつの間にか自分の目をすり抜けて、後ろまで行ってしまっている節点ですので、初めからすでに深く侵入されている、という扱いになります。
これが、すごい桁の接触力が出た理由です。
では、回避方法を2個示します。アイデアだけ伝えるので、ご自身で回避できるか確かめてみてください。
回避策1: MORIENT=OPENGAP
先ほどのモデルでは MORIENT=NORM となっていましたが、OPENGAP に変えます。
https://2025.help.altair.com/2025/hwsolvers/ja_jp/os/topics/solvers/os/contact_bulk_r.htm
こちらの文章はわかりやすいですが、OPENGAP にしておくと、メッシュの状態で、開いているものとみなします。要素の法線の向きは関係なくなります。
ですので、MORIENT=OPENGAP とすると、このモデルの初期干渉はなくなります。
回避策2: 自動接触を使う
自動接触でも同じように、初期干渉とは判定されません。定義が圧倒的に楽です。試してみてください。