電磁界解析と最適化でインピーダンス整合のためのパラメータを探索

Yamakura
Yamakura
Altair Employee

インピーダンス整合

アンテナのような高周波電磁界が伝達する際、「インピーダンス整合」が重要であるとよく聞きます。電磁界に限った話でもないですが、何かしら状況の異なるものと接続するときに、伝達されてきたエネルギーがそこで反射してしまうことがあります。「インピーダンス整合」はそのような反射を低くして、エネルギーに気分よく通過していってもらえるようにする手段の一つです。

インピーダンス整合をとるためには、整合回路を間に挟むなどで対応しますが、その際にキャパシタやインダクタの値を適切に選択しないといけません。熟練の技を持つ人であれば、簡単にそれらのパラメータを適切に決めることができるかもしれませんが、私は残念ながら経験不足でそれが難しいです。

そのような場合、電磁界シミュレーション+最適化ツールがとても有効な解決手段を提供してくれます。

電磁界シミュレーションと最適化ツール

アルテアが提供するAltair Fekoでは、高周波電磁界シミュレーションにより、設定した状況での高周波電磁界のふるまいを精度よく簡単に求めることが可能です。これにより、アンテナの設計開発などで問題となる電力の反射率を求めることができます。そして、一回(1ケース)だけのシミュレーションはとてももったいないです。シミュレーションなので、設定を変えることでいろいろなパターンを試すことができますから、様々なパラメータを試すのがお得です。それにより反射率の小さなパラメータを探すのに活用できます。

アンテナ、レーダーの電磁界(EMI)シミュレーションソフトウェア | Altair Feko (altairjp.co.jp)


しかし、やみくもにパラメータを変更しているのでは、なかなか正解となる反射率の小さくなる整合回路のパラメータを見つけることができずに途中で断念することになってしまうかもしれません。そんな時に最適化ツールが重要な役割を果たします。Altair Fekoには最適化ツールのOPTFEKOが内蔵されています。この最適化ツール(OPTFEKO)を利用するとパラメータを指定した範囲で様々な値でシミュレーションを実行し、反射率が最も小さくなるような整合回路のパラメータを探索してくれます。これらを自動的に実施してくれるので、最適化を実行している間ユーザは他の作業を進めることができます。

実際にインピーダンス整合を机上でやってみた

それでは、実際にAltair Fekoの電磁界シミュレーションと最適化を利用してアンテナのインピーダンス整合をとることができるのかを試してみました。今回検討したのは、Altair Fekoがライブラリとして提供しているアンテナを基に、少し変更をして試してみました。下図のようなアンテナで、給電点との間にインダクタとキャパシタを挿入し、1 GHzの周波数で整合が取れるインダクタンス値とキャパシタンス値を求めてみようと思います。

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全く調整していない状況で適当にインダクタンス値とキャパシタンス値を入れて解析して得られた反射率の結果が下図です。1 ~ 1.2 GHzあたりで反射率は小さくなっているものの、3割程度は反射してしまっています。

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最適化を実施した結果

それでは早速Altair Fekoで最適化を実施した結果をご覧いただきます。下図の緑の線が最適化後の反射率を表しています。青線が上記でも示しました、最適化実施前の反射率です。ご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、最適化実施後では1 GHzの周波数でほぼ反射率が0(-87.56 dB)にまで下がっています。今回のケースではパラメータを探索するのに要した時間は20分でした。おそらく私が手動でパラメータを変えていた場合、この時間ではとても達成できなかったと思います。実際に体験して最適化ツールの便利さがよくわかりました。

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パラメータを探索している途中の様子も見ることができます。反射率が最小化できるようなインダクタンス値、キャパシタンス値を徐々に絞り込んでいる様子がわかります。

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タッチストーンファイルを利用したインピーダンス整合

今回の記事では、最適化ツールで毎回電磁界シミュレーションを実施して、反射率の結果を応答値として探索する手法を使いましたが、アンテナや周辺構造物が大規模になってくると毎回電磁界シミュレーションを実施していると計算時間が膨大になることがあります。そこで、Altair Fekoから出力できるタッチストーンファイルを利用することで電磁界シミュレーションを1度だけ実施するだけで、インピーダンス整合を取れる方法もあります。実際に今回の事例をこのタッチストーンファイルを利用する手法で解くと、数秒でインピーダンス整合を実現できるパラメータを見つけ出すことが可能でした。また、その結果もOPTFEKOを利用した方法とほぼ同じ結果となっており、規模の大きい解析においては有効に活用できる方法です。このタッチストーンファイルを利用したインピーダンス整合方法にご興味のある方は是非お気軽に下記のお問い合わせ先にご連絡をいただければと思います。

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まとめ

私はアンテナや整合回路の経験が浅いですが、Altair Fekoを利用することで簡単に適切な整合回路のパラメータを探索することができました。

これらのツールを利用して、弊社では下記のような取り組みにも参加をしております。

ローカル5G電波シミュレーションを活かした基地局配置計画 | Use Case | PLATEAU [プラトー] (mlit.go.jp)

ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。

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