Radioss を使って、3D カメラ撮影で取得したグリッドと CAD のずれている場所を探す方法

altair_fukuoka
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Altair Employee

始めに

HyperMesh や MVD (Model Verification Director) の形状比較機能を用いると、CAD と FEM などの比較はできるのですが、点群と CAD/FEM との比較ができません。そこでいろいろと考えていたのですが、そもそも点と面の距離を測定するということは、Radioss が点と面の接触や結合の計算をするときに行っていることですから、Radioss をこの目的に使ってみようということで、私なりに実施してみた内容を、ここに記します。

 

課題

このような形状のものを例とします。茶色の点が測定によって取得した点群データ、青色が CAD の表面に形状重視で張ったシェルメッシュです。Radioss を使うといっても、実際にはシミュレーション計算自体は行わないため、メッシュは品質 (節点が CAD から外れる可能性がある) ではなく、形状の再現性を優先します。

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具体的には HyperMesh の Rigid Body Mesh で良いでしょう。

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実際に CAD と点群で形に違いがあるのは、次の場所です。これを Radioss の機能で見つけることが目的です。

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今回は CAD との誤差 0.1mm までを良しとし、0.1mm を超える距離がある場所を判定します。

 

Radioss モデル

次のようなモデル化を行います。実際にはここからダウンロードしてみてください。

example01.7z

 

  • 点群は SPH とします。本当にシミュレーションをするわけではないので、材料と SPHプロパティはなんでもよいです。迷ったら、本モデルの /MAT/ELAST と /PROP/SPH をそのまま流用しても大丈夫なはずです。
  • CAD を模擬した FEM も本当にシミュレーションするわけではないので、適当な材料とシェルプロパティをつけます。迷ったら、本モデルの /MAT/VOID, /PROP/VOID をそのまま流用しても大丈夫なはずです。
  • 点群 SPH と FEM の間に許容誤差である 0.1mm までを探索対象とした結合条件 /INTER/TYPE2 をつける。

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これを実行するとログファイル _0000.out ができるのですが、その中に、次のような警告と節点の ID リストが出てきます。この節点 ID こそ、許容誤差 0.1mm を超えてしまっている点群です。

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ポスト処理

すでに節点 ID は取得できていますが、HyperMesh 上でも表示してみたいと思います。

方法はいくつかあると思いますが、私は、何とかして先の節点 ID リストから、RADIOSS の節点集合をつくり、元のファイルにインクルードしました。

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そのモデルのダウンロードはこちら、model01_post.7z

 

この節点集合をレビュー表示すれば、このようにずれている場所が確認できます。

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残念ながらこの節点集合を作るツールなどは、現在アルテア側からの提供はないので、各ユーザー様ごとにテキストエディタやテキスト編集ツール等で何とかしてください、となります。もし何ともならない場合は、担当営業にご相談いただければ、必要なスクリプトの作成等承ることができると思います。

やっていることの流れがつかみにくければ、次の動画をご参照ください。

動画による説明


動画ファイルのダウンロード

KB0124930_Radiossを使って3Dカメラ撮影で取得したグリッドとCADのずれている場所を探す方法.mp4