romAI検証コーナー(その7)静的か動的か?
シンプルなモデルを使用して、romAIの機能をチェックしていきます。第7回は静的ROMと動的ROMの比較を行います。
問題設定
第1~6回はすべて静的な問題でしたが、今回は動的な問題を取り扱います。
1自由度のばねマスダンパー系に対し、一定振幅のスイープ加振を行った場合の変位と速度を計算しました。
romAIの設定
romAIの設定を行います。静的ROMと動的ROMの2種類を作成します。
静的ROM
第1~6回と同様です。
入力が荷重、出力が変位としました。状態量の指定はありません。
Inputs: Fe
Outputs: x
動的ROM
入力が荷重、出力が変位、状態量を変位と速度としました。
Inputs: Fe
Outputs: x
States: x, v
状態量として、支配方程式の微分がある変数の最高次を除く変数を指定します。今回は支配方程式が運動方程式で、変位の2階微分である加速度が最高次です。したがって、変位の1階微分の速度と0階微分の変位の2つを状態量とすると、正しく物理現象を表した動的ROMが作成できます。
2階以上の高階微分方程式の場合はPhysical constraintsを使用して、状態量同士の微分関係を定義することで、効率・精度が向上します。今回は、変位xの微分が速度vであるという関係を定義しました。
その他の設定
その他の設定は静的ROM、動的ROMで共通です。Activateのモデルは線形なので、Model Type: linearとしました。
データはノイズのないデータですので、第6回を参考に、データの分割は行っていません。
計算結果
romAIで作成したモデルを元のActivateの結果と比較します。
横軸時間と横軸荷重とした場合の変位の比較を示します。
静的ROM
静的ROMですので、慣性による共振や減衰による位相遅れを表現できません。
横軸荷重(入力)、縦軸変位(出力)とした場合に、1対1の関係で表されるのが特徴です。
動的ROM
Activateの解と一致しており、慣性による共振や減衰による位相遅れを表現できていることがわかります。
まとめ
1自由度のばねマスダンパー系に対し、静的ROMと動的ROMを作成し、静的ROMの場合は、入出量関係が必ず1対1になること、動的ROMの場合は、慣性による共振や減衰による位相遅れを表現できることがわかりました。
Comments
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本ブログで使用したモデルとその解説動画は下記よりご利用いただけます。
パラメータを変えていろいろお試しください。
https://community.altair.com/community/?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0122103
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ベースモデルは下記ブログで紹介したばねマスダンパーモデルを流用しました。
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