振幅・周波数・予荷重が考慮可能な非線形液封マウントモデルAltairBushingの紹介

Kosuke_IKEDA
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Altair Employee

振幅・周波数・予荷重が考慮可能な非線形液封マウントモデルAltairBushingを紹介します。機構解析Altair MotionSolveにてご利用いただけます。


液封マウントとは

内部に液体が封入されたマウントです。液体の共振により周波数依存性を示し、共振周波数帯で高い減衰特性を持ちます。また、ゴム材の非線形性により振幅、予荷重依存性があります。エンジンマウントに使用されます。

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予荷重一定とすると、振幅、周波数で動剛性、損失角が変化しますので、一般に以下のような3次元マップで特性が表現されます。

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AltairBushingとは

AltairBushingは液封マウントの振幅・周波数・予荷重依存の動剛性・損失角を表現するためのモデルです。流体マスと複数の非線形ばね・ダンパーで構成されています。各パラメータを実測データにフィッテイングすることで、様々な機構モデルに組み込んで使用できます。

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フィッティング

AltairBushingのパラメータフィッティングのために、Model Identification Tool(MIT)が提供されています。MITを使用することで、実測の各振幅・周波数・予荷重における動剛性・損失角のテーブルデータから簡単にパラメータを同定できます。

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 フィッティング結果の一例です。各振幅毎に、動剛性・損失角の周波数依存性を表現できています。

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AltairBushingの使い方

Altair MotionViewのAutoBushFDを定義し、プロパティファイル.gbsを指定することで、MotionSolveを用いた機構解析の計算にご利用いただけます。

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検証

 MotionSolveの過渡応答計算において、液封マウントの特性が正しく表現できているか、確認されたいユーザ様も多いと思います。Altair ComposeとAltair HyperStudyを用いることで、MotionSolveの過渡応答計算における振幅、周波数、予荷重毎の動剛性・損失角の算出を自動化できます。

Altair Composeによる動剛性・損失角の算出

Altair ComposeはCAEのバイナリ結果ファイルを直接読み込み、Matlab互換の言語で簡単にマトリクス演算が行えます。これを用いて、MotionSolveの単一振動数加振結果を読み込み、最適化関数でsin関数にフィッティングしました。

フィッティングしたsin関数の係数を用いることで、等価な動剛性・損失角をすばやく求めることができます。

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Altair HyperStudyによる動剛性・損失角の3次元マップ作成

Altair HyperStudyのDOEを用いることで、振幅・周波数・予荷重を変えた場合のMotionSolveの実行およびComposeによるsinフィッティング、動剛性・損失角の算出を自動化できます。

HyperStudyが自動で振幅・周波数・予荷重を変更したMotionSolveの入力ファイルを生成し、さらにMotionSolveのソルバとComposeを連続でバッチ実行します。その後、HyperStudyが算出した動剛性・損失角を抽出し、集計します。

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MotionSolveの過渡応答計算結果から求めた動剛性・損失角の3次元マップです。実測データと同様の振幅・周波数依存性を表していることが確認できました。

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1例として振幅0.1mmの結果を比較すると以下のようになり、実測の動剛性・損失角の周波数依存性を表現できています。

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AltairBushingの活用

あとは、MotionSolveの各種車両モデルにAltairBushingを搭載し、サーキット走行、台上加振、悪路走行など様々な場面でご利用ください。

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