接触を考慮した固有値解析や周波数応答解析?
接触を考慮した固有振動解析や周波数応答解析はできますか?というお問い合わせをよくお受けしますが、結論から言うとできません。それは接触という非線形現象と固有振動や周波数応答という線形現象は両立しないからです。簡単な例として図1のようなモデルを作ってみました。これは長方形シェルの一端を固定し、もう一端は固定されたソリッドのブロックと接触させたモデルを斜め下から見ています。シェルとソリッドの間は接触(Contact)または固着(Tied)とし、シェルの中央部にインパクト荷重を負荷してOptiStructで計算を行い、荷重点の応答を見てみることにします。接触(Contact)は非線形、固着(Tied)は線形の現象となります。
計算結果が図2です。横軸は時間、縦軸は変位量でプラス方向が接触する方向、マイナス方向が離れる方向です。接触(Contact)条件の場合、長方形シェルは荷重負荷のあとブロックから離れた状態で数周期振動したあとブロックと接触して跳ね返されるため不規則な振動を繰り返しています。一方固着(Tied)の場合は変位量ゼロを中心とした一定周期の振動が発生しています。
固有振動解析や周波数応答解析というのは構造物の振動特性を正弦波で表現する手法ですので、接触によって引き起こされるような非線形な振動は対象とならないことが分かります。どうしても接触を考慮したい場合は今回のように非線形過渡応答解析で対処することが可能ですが、大規模なモデルでは非常に時間が掛かります。
使用製品 : OptiStruct
Answers
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補足です。
固有値解析と周波数応答解析のサブケースでSTATSUB(PRELOAD)= N(Nはボルト締め付けなどの初期荷重静的解析サブケース番号)を指定することにより、初期荷重の効果を継承できますが、継承される内容に注意してください。添付のサンプルモデルを参照してください。
継承される内容:
- 接触状態:初期荷重で接触していると判定された領域は、接続されたままであり、接触していないと判定された領域は離れたままです。着いたり離れたりしないことに注意してください。
- 幾何剛性による剛性の変化:初期荷重による幾何剛性の影響が考慮されます。一般に、初期荷重が引張りの場合、剛性は増加し、圧縮の場合、剛性は減少します。
継承されない内容:
- ひずみと応力の分布:初期荷重により発生するひずみと応力は、固有値解析または周波数応答解析に引き継がれません。
- 変形状態:初期荷重サブケースが微小変形解析の場合、生成された変形状態は固有値解析または周波数応答解析に引き継がれません。
初期荷重サブケースが大変形解析(NLPARM(LGDISP))の場合、生成された変形状態は固有値解析と周波数応答解析に引き継がれます。ただし、構造-音響連成モデルではエラーが発生します。その場合、初期荷重サブケースを微小変形解析として使用します。
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