製品のばらつきも考慮するシステム信頼性最適化の紹介
初めに
HyperStudy では、普通の最適化はもちろんできますが、システム信頼性最適化 (System Reliability Optimization, SRO) という最適化もできます。言葉で説明するよりも、見てもらった方が早いので、普通の最適化とシステム信頼性最適化の違いを順番に説明していきます。
お題
今回は y=(x-1)(x-2)(x-3) という方程式に対し 0.8≦x≦3.2 という範囲で、y<0 となる最小の x を探すというのをお題にします。こちらも言葉よりも次の図の方がわかりやすいと思います。
普通の最適化
普通の最適化では、とにかくピンポイントで、一番小さい x を目指します。このお題だと、左端の x=0.8 が最適解になります。
実際に HyperStudy も 0.8 という答えを見つけることができます。
システム信頼性最適化
普通の最適化で出てきた最適化の場合、ばらつきを考えると制約を満たさなくなってしまうということが起こります。
そこで利用できるのがシステム信頼性最適化 SRO です。では実際に
- x の標準偏差 σ=0.15
- 「y≦0 を 99% が満たす」という制約を、99.5% の確率で満たす
という条件で、最小の x を探してみます。乱数を使う手法のため、制約を 100% 満たすということはできないのですが、ほぼ 100% と考えると、正規分布的にはおおよそ2.57σくらいにになるはずです。0.15*2.57=0.3855 なので、それくらいの幅をとれるところ、つまり 2.3855 近辺が答えとなるはずです。
実際に HyperStudy は次の答えを出します。
考察
数式だとピンと来ないかもしれませんが、今回のこの x を質量、y を応力とか、x を消費電力、y を出力などというように、実際の製品になぞらえて、捉えてみてください。何か究極の一品を作り出すなら、普通の最適化で得られるギリギリのところを攻めると良いと考えられます。逆に、ある程度ばらつきを許容しながら製造コストを抑えつつ、安定して良い製品を作りたいというようなことを考えると、システム信頼性最適化は、良い選択肢になると思います。
時と場合に応じて、使い分けてみてください。
ここで使った HyperStudy のダウンロードはこちらです: Study_1.hstudy
ユーザーのみなさま向けの例題
このような簡単な数式ではなく、FEM を用いた例題が用意されていますので、ご活用ください。
https://2022.help.altair.com/2022/hwdesktop/hst/topics/tutorials/hst/tut_hs_4500_t.htm
アルテアジャパン公式製品サイト
https://www.altairjp.co.jp/hyperstudy/