Altair HyperWorksによる衝突解析モデルからFEKO用電磁界解析モデルへの変換

Omori
Omori
Altair Employee

はじめに

Altair HyperWorksを用いて自動車の衝突解析モデルをFEKOによる電磁界解析モデルに変換する手順をご紹介します。本件ではRadioss用のホワイトボディのモデルを題材とします。

車体の電磁界解析モデル作成において、部品間の締結を効率的に実施することは重要な課題の一つです。

本件では衝突解析モデルにおいて定義された部品間を締結するためのスポット溶接の情報を用いて、効率的にFEKO用モデルを作成する手順を示します。

 

衝突解析モデルの読み込み

HyperWorksを起動し、衝突解析モデルをインポートします。

1. File > Import > Solver Deckメニューを選択します。

  image

 2. RADIOSS用入力データファイルを選択し、「開く」をクリックします。

   image

 3. Importをクリックします。

  image

部品間の締結

HyperWorksのConnectorsの機能を用いて部品間をビーム要素を介して結合します。

一般的に衝突解析モデルにおいて、パネル部品のシェル要素と溶接部を表現するためのばね要素やソリッド要素とはタイ結合を用いて 結合されます。

一方、FEKOにおいてはタイ結合の機能は存在せず、結合したい部品の節点を共有結合させる必要があります。

HyperWorksを用いることによって、衝突解析モデルで定義されたスポット溶接の位置情報を用いて、自動的に一次元要素を介して共有結合させることが可能となります。

1. ConnectorsリボンメニューのPointをクリックします。

 image

 2. Undefined vをクリックしてCreate New…を選択します。

 image

  3. Connector Control ManagerのType:をspringに設定します。さらにConnectivity:を「mesh dependent」に、Adjust Option:を「adjust mesh」に、Adjust meshを「remesh」に設定し、ダイアログ右上のをクリックして閉じます。

image

image

 4. Undefined vをクリックしてconnectorcontrol1を選択します。

  image

 5. Nodes右側の「」をクリックし、Shift+左クリックでスポット溶接のばね要素(本例題ではCONNECTION_E_SPOTWELD_*)のコンポーネントを全て選択してOKをクリックします。

  image

 6. ボタンをクリックして部品間を結合するばね要素を新たに生成します。各部品の要素はリメッシュされ、生成されたばね要素を介して節点共有で結合されます。

image

要素タイプの変換

Config edit機能で前項で生成したばね要素をビーム要素に変換し、またSplit機能にて四角形要素を三角形要素に分割します。

1. View > Panelsメニューでパネルメニューを表示させます。

  image

 2. 1Dパネルのconfig editを選択します。

  image

 3. elemsをクリックしてby collectorをクリックします。

image

4. >>をクリックして生成したばね要素(本例題ではSPRING2N_prop*)のコンポーネントを選択し、selectをクリックします。

image

 

5. New config = クリックしてbar2を選択し、switchをクリックします。この操作により、ばね要素がビーム要素に変換されます。CADFEKOはビーム要素を1次元要素として認識します。

image

 

6. 次に四角形要素を三角形要素に変換します。2Dパネルのsplitをクリックします。

image

7. elems右側の▼をクリックしてdivide quadsを選択します。

image

8. elemsをクリックしてby config をクリックします。

image

9. config = をクリックしてquad4を選択し、select entitiesをクリックします。

image

 

10. splitをクリックします。

image

 

11. 衝突解析モデルのスポット溶接で使用されていたばね要素を削除します。Componentsブラウザのリストにおいて衝突解析モデルのばね要素(本例題ではCONNECTION_E_SPOTWELD*)のコンポーネントをShift+左クリックで全て選択し、Delキーを押すか、右クリックでDeleteを選択します。

image

 

Nastran形式へのエクスポート

作成したモデルをNastran形式でエクスポートします。

 1. File > Export > Solver Deckメニューを選択します。

image

 

2. エクスポートするファイル名前およびファイルの種類(Nastran形式とし、拡張子は*.nasまたは.*bdfとします。)を入力して保存をクリックします。

image

3. Exportをクリックします。作成したデータはNastran形式で保存されます。

image

 

CADFEKOへのインポート

CADFEKOを起動し、Nastran形式のデータをインポートします。

1. CADFEKO起動後、HomeリボンメニューのModel Unitをクリックし、長さの単位系Millimeters (mm)を選択してOKをクリックします。

image

 

2. File > Import > Mesh メニューを選択します。

image

3. Mesh Importer Toolの Browse...ボタンでNastranファイルを選択します。

image

4. AdvancedタブでDefault wire radius=0.1、Scale factor to meters = 1e-3と入力してOKをクリックします。

image

 

5. 読み込みが完了したらExecuting prefekoダイアログのOKをクリックします。

image

 

6. ViewリボンメニューのZoom to Extentsをクリックして3D画面にモデルをフィットさせます。

image

7. 解析条件(給電条件や解析対象周波数など)を設定します。

まとめ

Altair HyperWorksを用いて自動車の衝突解析モデルをFEKOによる電磁界解析モデルに変換する手順をご紹介しました。

本記事でご紹介した手法が既存のモデル作成プロセスを活用して効率的に電磁界解析モデル作成を実施するためのヒントになれば幸いです。