収束させるのが難しい非線形静解析は、陽解法動解析ソルバー RADIOSS で準静解析を行いましょう


始めに

こちらのユーザー限定公開記事に書いたのですが、非線形静解析は解が得られることが約束されていない手法です。実は、見かけによらず、この単純な三点曲げは、非線形静解析泣かせな案件だったりします。

https://community.altair.com/community?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0119762

三点曲げアニメーション


解が得られなかった場合、収束パラメータや、人口粘性パラメータなどの調整に手を出し、気が付いたら数日~一週間、答えが得られないまま経過してしまった、なんてことはないでしょうか?


そのような時は、陽解法動解析ソルバー Radioss で準静的な解析を行うことをお薦めします。


陽解法動解析ソルバー Radioss で準静的解析を行える理由、行った方が良い理由

Radioss は主に落下などの衝突衝撃問題に使うソルバーです。例えば自動車衝突では 0.1秒、もっと小さいスマホ落下解析では 0.01秒など、短い現象を計算するものです。一方で非線形静解析の対象となる現象は、何十秒、何分も掛けて行われる試験が多いと思います。例えば、先の記事で例として挙げている樹脂の三点曲げ試験は、2mm/分という、ゆっくりとした変化を求めます。

そうすると Radioss では不可能ではないかということになるのですが、実は、多くの現象は、そこまでゆっくり変化させなくても、ほとんど測定不可能なくらい、結果が変わりません。先ほどの三点曲げでいえば、0.1秒もあれば、十分に静止していると言える状態を得ることができます。これが Radioss で準静的解析を行える理由です。

十分静的な FSカーブ


次は Radioss で行った方が良い理由です。非線形静解析のソルバーは、モデル全体に大きな一つの行列式を作って、陰解法と言うやり方で、その行列式を唯一満たせる解を見つけなくてはなりません(で、見つけられないから収束しないわけです)。一方、陽解法の Radioss は、節点ごと、要素ごとの運動や応力を、細かい時間刻みで淡々と計算するだけです。もし座屈、くびれ、降伏などで、抵抗力を失っても、どこかにぶつかるまで、慣性運動で動き続けるだけで、収束しないなどと言う問題が起きません。先ほどから出ている三点曲げの問題は、治具に押されながら成り行きで何となく落ち着く場所が決まる問題です。明確な拘束条件が無いため、正しい答えを見つけなくてはならないと言う、非線形静解析泣かせの問題なのですが、逆に Radioss は得意です。

また、Radioss には物体の細かい振動を自動的に調整して鎮めるための減衰の機能もあります。先ほどのグラフの時よりも、速く動かしてあえて振動を載せたモデルで、その効果をご覧ください。

自動減衰の効果


うまく解ける非線形静解析と、Radioss による準静的な解析では、うまく解ける非線形静解析の方が、速いことが多いかもしれません。しかしうまく解けるオプションパラメータを見つけるまで、何日も、下手したら一週間も掛けてしまうなら、始めから、Radioss  で計算してしまう方が速いでしょう。

ちなみに、アニメーションに使っている三点曲げモデルは 4分で解いています。減衰の例で示したモデルは、30秒です。もちろんこれは非常に小さなモデルですが、何日も収束パラメータと格闘するよりも、効率的だと思いませんか?


まとめ

ということから、ぜひ非線形静解析に悩んだら Radioss を試してみてください。


アルテアジャパン公式製品リンク

https://www.altairjp.co.jp/radioss/