実は接触で跳ね返しただけで、エネルギーが減っていますというお話


実は接触しただけでエネルギーが散逸します

さっそくですが、下図で、上の物体がどれくらいの速度で跳ね返るか予想してみてください。物体の変形も、軸のずれも起きない設定です。摩擦もゼロにします。1000mm/s でしょうか?

モデル定義

この問題を /INTER/TYPE25 で実際に解いてみると、

/inter/type25の結果


これがなぜなのかと言うと /INTER/TYPE25 では VIS_s パラメータで臨界減衰係数が 0.05 に決められているので、跳ね返すだけで若干のエネルギーの散逸が生じるためです。

VISsの場所


/INTER/TYPE25 の場合は、この減衰で失ったエネルギーを /TH/INTER の CE_DAMP でプロットすることができます。

/TH/INTER/2
type25
#
# CE_ELAST 接触バネの弾性変形エネルギー
# CE_FRIC 摩擦によって奪ったエネルギー
# CE_DAMP VISs の減衰で奪ったエネルギー
#
CE_ELAST  CE_FRIC   CE_DAMP
# interface の ID
1

/TH/INTER によるプロット


/INTER/TYPE7, TYPE19, TYPE24 など他の汎用接触についてはこの CE_DAMP は出力されません。その場合、全体エネルギーの DTE でどれだけエネルギーが全体から消えたのかを見ることができます。ただし、DTE は、他のメカニズムで散逸したエネルギーや計算誤差など全部ひっくるめて、系から散逸したエネルギーを示すので、接触だけに限らないので注意が必要です。

DTE でエネルギー散逸を評価

(上図は /INTER/TYPE24 を使ったとき)


VISs=1e-30 の場合

0 にしたいのですが RADIOSS にとって 0 はデフォルト、つまり 0 を入れると 0.05 になってしまうので 1e-30 とします。ちなみに1e-30 は Radioss に打ち込める最小の桁数です。

こうすると元の速度と同じ 1000mm/s で跳ね返りました。

VISsで1000mm/sぴったり賞

 

入力ファイルのダウンロード

デフォルトのVIS_s.7z

VIS_s=1e-30.7z