Inspire Extrudeによるアルミニウム押出のクエンチングシミュレーション

Hirota33
Hirota33
Altair Employee
edited October 2022 in Altair HyperWorks

アルミニウム合金の押出機で使用されるクエンチシステムは著しく進歩し、様々な方法で冷却速度を制御することが出来るようになりました。一方で、押出機は、最適な冷却速度を達成するために、主に手動での試行錯誤に頼っており、これらの急冷システムの非効率的な使用が行われている事があります。また、冷却が速すぎると、アルミニウム形材が残留応力による変形で歪む可能性があり、逆に、冷却が遅すぎると形材の強度が低下する可能性があります。(図1)

image

図1

 

クエンチングのシミュレーション

Inspire Extrudeでは、このような課題に対応するために、アルミニウム押出解析後の冷却プロセスをシミュレートする機能が搭載されています。この機能では、スプレー、エアノズル、ファン、浸水クエンチングの4種類のクエンチングタイプが用意されており、ユーザーは使用しているクエンチシステムに応じて選択する事が出来ます。(図2)

 

image

図2

 

アニメーションで冷却状態を確認

クエンチングタイプの設定後、各クエンチシステムの寸法を選択して、ラインやノズルの設定を行うことで簡単にクエンチングのモデルを構築して解析実行する事が出来ます。また、形材の初期温度はInspire Extrudeで事前に押出解析として実行した温度分布結果をプロファイルに引き継いで使用する事が可能です(図3)。

解析結果としては、温度分布や冷却速度などの結果アニメーションを時刻歴に確認する事が出来ます。更に、変形解析機能のオプションを選択する事でクエンチング後の変形解析を実行し変形状態を確認する事も可能です。(図4)

image

図3

 

 

image

図4

 

押出成形のプロセスでは冷却するためにクエンチング(焼入れ)されます。その冷却条件は、形材の最終製品に対する機械的特性に大きな影響を及ぼします。そのため冷却も考慮した設計が重要になります。Inspire Extrudeに搭載されているクエンチングのシミュレーション機能は、クエンチングシステムの冷却条件の検討を簡単かつ迅速に行う事を可能にします。