Joints
Jointsツールを使用してjointsを作成および編集します。
ジョイントは、低次ペア拘束を作成します。拘束とは、ボディから自由度(DOF)を取り除くことです。各ボディには、並進自由度が3つ、回転自由度が3つの合計6自由度があります。
低次ペア拘束は、制約が2つの異なるボディに属する2つの参照フレーム(座標系)によって表現できる、制約の理想化された形式です。
異なる方向の拘束条件を組み合わせることで、さまざまなタイプのジョイントが可能になります。
ジョイントタイプ | 詳細 | 除去される並進自由度 | 除去される回転自由度 | 除去される回転自由度の合計 | 摩擦の追加 |
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Ball |
球ジョイントやソケットジョイントとも呼ばれるBallジョイントは、機構の中で使用する自由度3のキネマティックペアです。Ballジョイントは、タイロッド経由のステアリングラックとナックル間のジョイントやナックルとコントロールアーム間のジョイントなどのさまざまな場所で使用する3軸回転機能を提供します。 | 3 | 0 | 3 | ○ |
Constant Velocity |
Constant Velocityジョイントは、自由度2の拘束です。Constant Velocityジョイントは、指定された軸を中心にしたボディ(Body 1)の回転が、このジョイントによって結合された他方のボディ(Body 2)の回転と等しくなるように、前者の回転を拘束します。その回転軸は、結合するユーザー定義のボディ上で定義したマーカーのZ軸です。Constant Velocityジョイントは、独立懸架サスペンションを備えた車両のドライブシャフトに幅広く使用されています。 | 3 | 1 | 4 | No |
Cylindrical |
Cylindricalジョイントは、機構の中で使用する自由度2のキネマティックペアです。Cylindricalジョイントは、1つの平行移動と1つの回転を提供します。このジョイントは、ショックアブソーバーのチューブとロッドや油圧シリンダーとロッドのペアなどのさまざまな場所で広く使用されています。 | 2(中) | 2(中) | 4 | ○ |
Fixed |
Fixedジョイントは、自由度0の拘束です。このジョイントで結合したボディ間に剛体結合が適用されます。つまり、Fixedジョイントで結合されたボディどうしは必ず一体で移動します。Fixedジョイントを使用して、相対変位を0に理想化した結合をシミュレートします。このような結合として、ボルト結合、溶接結合、他のボディに対するモーションと方向が固定された2つのボディなどがあります。 | 3 | 3 | 6 | No |
Planar |
Planarジョイントは、自由度3の拘束です。これは、あるボディ(Body 1)上の面をジョイントで結合された別のボディ(Body 2)上で定義された面内に残すように拘束します。面は、ジョイントを定義するマーカーのX軸とY軸によって定義されます。Body 1は、拘束の定義に使用されるマーカーのZ軸の周りを回転したり、X軸やY軸に沿って移動することができます。 | 1 | 2 | 3 | No |
Revolute |
ピンジョイントやヒンジジョイントとも呼ばれるRevoluteジョイントは、機構の中で使用する自由度1のキネマティックペアです。Revoluteジョイントは、ドアヒンジや折り畳み機構などのさまざまな場所で1軸回転機能を提供します。 | 3 | 2 | 5 | ○ |
Translational |
Translationalジョイントは、機構の中で使用する自由度3のキネマティックペアです。Translationalジョイントは、スプラインシャフトやスライダー機構などのさまざまな場所で1軸平行移動機能を提供します。 | 2(中) | 3 | 5 | ○ |
Universal |
Universalジョイントは、機構の中で使用する自由度3のキネマティックペアです。Hookeジョイントとも呼ばれる場合もありますが、機能は同じです。これら2つのジョイント間の違いは、ジョイントの定義方法のみです。Universalジョイントは、プロペラシャフト、ドライブシャフト、ステアリングコラムなどの用途に2つの回転機能を提供します。 | 3 | 1 | 4 | ○ |
AtPoint |
AtPointジョイントは、機構内部で使用する自由度3のキネマティックペアです。このジョイントはballジョイントと同じ働きをします。AtPointジョイントは3軸回転機能を提供します。 | 3 | 0 | 3 | No |
Inline |
Inlineジョイントは、自由度4のプリミティブ拘束です。この拘束は、あるボディ(Body 1)上の参照マーカーの原点が、ジョイントで結合された別のボディ(Body 2)上の参照マーカーのZ軸に沿って平行移動するように適用されます。3種類の回転と、ジョイントの方向を定義するZマーカーに沿った1種類の並進が自由となります。Inlineジョイントのようなジョイントプリミティブには、物理的な実体がないことがあります。それらは、標準ジョイントを使用できない場合に独自の拘束を適用するために使用できます。 | 2(中) | 0 | 2 | No |
Inplane |
Inplaneジョイントは、自由度5のプリミティブ拘束です。これは、あるボディ(Body 1)を、ジョイントで結合された別のボディ(Body 2)上で定義された面(XY面)内に残すように拘束します。3種類の回転と2種類の並進が自由となります。拘束されている自由度は、Body 1がBody 2から’離れる’動きのみとなります。Inplaneジョイントのようなジョイントプリミティブには、物理的な実体がないことがあります。これらのジョイントは、強制的な幾何学的拘束などを適用する際に使用できます。 | 1 | 0 | 1 | No |
Orientation |
Orientationジョイントは、自由度3のキネマティックペアです。このジョイントによって、3方向すべての並進移動は自由でありながら、3方向の回転自由度は拘束されます。事実上、このジョイントで結合される2つのボディの方向は同じままになります。 | 0 | 3 | 3 | No |
Parallel Axis |
Parallel Axesジョイントは、自由度4のプリミティブ拘束です。この拘束は、あるボディ(Body 2)上の参照マーカーのZ軸と、ジョイントで結合された別のボディ(Body 1)上の参照マーカーのZ軸が平行になるように適用されます。3つすべての移動と、ジョイント方向を定義するマーカーのZ軸の周りの1つの回転が自由です。Parallel Axesジョイントのようなジョイントプリミティブには、物理的な実体がないことがあります。Parallel Axesジョイントは、標準ジョイントが使用できない場合に独自の拘束を適用するために使用できます。 | 0 | 2 | 2(中) | No |
Perpendicular |
Perpendicular Axesジョイントは、自由度5のプリミティブ拘束です。この拘束は、あるボディ(Body 2)上の参照マーカーのZ軸と、ジョイントで結合された別のボディ(Body 1)上の参照マーカーのZ軸が垂直になるように適用されます。3つすべての移動と、ジョイントの方向を定義する両方のボディ上のマーカーのZ軸の周りの2つの回転が自由です。Perpendicular Axesジョイントのようなジョイントプリミティブには、物理的な実体がないことがあります。この種のジョイントは、標準ジョイントが使用できない場合に独自の拘束を適用するために使用できます。 | 0 | 1 | 1 | No |
Screw | Screwジョイントは、機構の中で使用する自由度5のキネマティックペアです。Screwジョイントは、軸を中心にした一方のボティ(Body 1)の回転と、もう一方のボディ(Body 2)の軸に沿った平行移動との間に強制的に関係を適用します。この関係は、ジョイントのピッチを指定することで完成します。Body 1が1回転すると、スクリューのピッチに等しい距離だけBody 2が平行移動します。Screwジョイントは、ボルトとナットの拘束やラック&ピニオン式ステアリングなどの用途に広く使用されます。 | 1 | 0 | 1 | No |
MotionViewジョイントは、コンプライアントまたは非コンプライアントに設定できます。この機能は、理想化された拘束(Joint)として、または剛性と減衰を持つブッシュとして、任意の接続の表現を切り替えるのに役立ちます。
- 非コンプライアントジョイント
- 非コンプライアントジョイントは、純粋な拘束条件として機能し、その特定のジョイントタイプの自由度間での相対運動のみを可能とします。
- コンプライアントジョイント
- コンプライアントジョイントはブッシュと同じで、6つの全自由度における相対運動が可能です。相対運動は、コンプライアントジョイントの剛性と減衰に左右されます。ジョイントを準拠させるには、ジョイント作成時に Allow compliance option を有効にする必要があります。Allow compliance(コンプライアンスを許可する)オプションなしで作成されたジョイントは、コンプライアントに切り替えることはできません。
注: システム内のコンプライアントを許可するジョイントのコンプライアント状態は、システムレベルで制御することができます。
Jointsツール
を使用したジョイントの作成
- モデルブラウザで、ジョイントの追加先とするシステムを選択します。
-
Model(モデル)リボンで、Jointsアイコン
をクリックして、ジョイント作成 / 編集コンテキストを呼び出します。
ジョイントのガイドバーが表示されます(Body 1コレクターがデフォルトでアクティブになっています)。- Optionsメニュー
からAllow Complianceを選択して、コンプライアンスを許可します。このオプションを選択しない場合は非コンプライアントジョイントが作成され、コンプライアントジョイントに変更することはできません。
- Optionsメニュー
- オプション:
ガイドバーの下にあるCreate Pairチェックボックスを選択して、ジョイントペアを作成します。
エンティティペアは、単一定義内の同じタイプの2つのエンティティの組み合わせです。このペアには、“Left”と“Right”の2つのサイドがあります。プロパティを有するエンティティはSymmetricとしてマークし、一方のサイドをLeadingサイドとすることができます。もう一方のサイドはFollowingサイドとなります。Followingサイドのプロパティは、全体座標系のX-Z平面に関して対称にLeadingサイドから反映されます。
-
モデリングウィンドウでボディグラフィックをクリックするか、アドバンストセレクター
を使用して、Body 1コレクターを解決します。
選択したボディが赤色でハイライト表示されます。 -
同様に、異なるボディを選択することでBody 2コレクターを解決します。
選択したボディが青色でハイライト表示されます。
-
次のいずれかの方法でOriginコレクターを解決します:
- モデリングウィンドウで既存のポイントをクリックします。
- CADGraphicの位置(エッジコーナー、中心、またはサーフェス中心)にカーソルを合わせてクリックします。この位置に新しいポイントが作成されます。
- Altキーを使用して、CADGraphicまたはFileGraphicのメッシュをハイライト表示します。節点にカーソルを合わせてクリックします。この位置に新しいポイントが作成されます。
- Advanced Selector
を使用して既存ポイントを選択します。
-
Playボタン、またはマイクロダイアログ上のCreateボタンをクリックして、選択したボディおよびポイント参照を使用してジョイントを作成します。
注: ジョイントが作成されると、これは編集モードになり、そのジョイントの近くにマイクロダイアログが表示されます。
ジョイントの編集
-
ガイドバーとマイクロダイアログを使用する場合:
-
編集するジョイントを選択し、ModelリボンのJointsアイコン
をクリックします。ジョイントが編集モードになり、ガイドバーとマイクロダイアログが表示されます。
- ボディ参照と原点を変更するには、ガイドバーでコレクターをアクティブにして、モデリングウィンドウから選択するか、アドバンストセレクターを使用します。
- Joint Typeはマイクロダイアログで変更できます。Joint Typeオプションで必要なジョイントタイプを選択します。
- Swap bodiesアイコンを使用して、選択したボディ間でBody 1とBody 2の参照を入れ替えます。
注: 非コンプライアントジョイント、またはコンプライアントに設定されたジョイントの場合、選択したジョイントタイプに適用可能であれば、Orient Axisアイコンがマイクロダイアログに表示されます。
ジョイントの向きを設定するには、Orient Axisボタン
をクリックしてOrientationコンテキストに切り替えます。
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編集するジョイントを選択し、ModelリボンのJointsアイコン
-
エンティティエディターを使用する場合:
- 編集するジョイントを選択します。そのプロパティがエンティティエディターに表示されます。
- ボディ参照と原点を変更するには、エンティティエディターでコレクターをアクティブにして、モデリングウィンドウから選択するか、アドバンストセレクターを使用します。
- Orientationセクションを使用して向きを変更できます。
- ジョイントのプロパティ
-
プロパティ 概要 General Label エンティティの説明ラベル。 Varname エンティティの変数名。 ID 整数の識別子。 Active エンティティのアクティブ状態。TrueまたはFalseFalse の場合、エンティティは非アクティブです。 Body 1 ジョイントの1つ目のボディ。 Body 2 ジョイントの2つ目のボディ。 Origin ジョイントの原点。 Type ジョイントのタイプ。 Compliant ジョイントのコンプライアンス状態。TrueまたはFalseTrueの場合、ジョイントはコンプライアントであり、ブッシュを表します。このプロパティは、Allow Complianceオプションを選択してジョイントが作成された場合に表示されます。 Orientation このセクションを使用して非コンプライアントジョイントの向きを設定します。向き設定のタイプと方法はジョイントタイプに依存します。 Alignment Type (Type 1 | Type 2) Universal、Inline、Inplane、Planar、ParallelAxesにのみ適用できます。希望のアライメントタイプを選択します。以下のコメントを参照してください。 Method (Method 1 | Method 2 ) ジョイントの軸の向きを設定する方法。PointまたはVectorを選択できます。 Point|Vector 選択したMethodに基づいてPointまたはVectorを選択します。ジョイントは、Originからそのポイントまたはベクトルの方向に沿った向きになります。 Note and Tags Note 任意の説明文。 Attachment Candidates Systems/Assemblies/Analysesに添付可能な、エンティティのタグを追加します。 注: コンプライアントジョイントのプロパティはブッシュのプロパティと同じです。 - 非コンプライアントジョイントの向きに関する注記
- 2つのボディ(I BodyとJ Body)の間のジョイントを定義することで、各ボディに属する2つのマーカーまたは座標系(I MarkerとJ Marker)を使用して、これらのボディ間の拘束が課せられます。ジョイントの向きを設定することで、これらのマーカーは、ジョイントが自由度を持つ特定の方向に向けられます(通常はマーカーのZ軸)。
図 1. ポイントに沿って方向付けられた回転ジョイントのZ軸 - アライメントタイプ
- 特定のジョイントには、ジョイントタイプに基づいたさまざまな位置揃え方法があります。
- ユニバーサルジョイントは、Shaft方向またはCrosspinのいずれかのサイドの方向(シャフトまたはヨークの一部に対して垂直)を合わせることで位置揃えできます。
- インラインジョイントは、軸をポイントまたはベクトルに揃えるか、もう1つの原点Origin 2を指定することで位置揃えできます。
- 面内ジョイント、平面ジョイント、平行軸ジョイントは、平面の法線を指定するか(ポイントまたはベクトル)、複数のポイントまたはベクトルを使用した2つの入力によって平面を定義することで位置揃えできます。
- 摩擦の追加
- 摩擦は、ボールジョイント、回転ジョイント、並進ジョイント、円筒ジョイント、ユニバーサルジョイントという非コンプライアントジョイントに追加できます。
MotionSolveでは、摩擦に対してLuGre(Lundt-Grenoble)モデルを使用します。詳細については、MotionSolveのForce_JointFrictionモデルステートメントをご参照ください。
摩擦を有効にするには:- ジョイントのEntity Editorで、FrictionセクションにあるUse Frictionチェックボックスを有効にします。摩擦のプロパティがリストされます。
- 摩擦係数、効果のオプション、形状パラメータ、LuGreパラメータを指定します。
注: 適用可能な係数とパラメータは、ジョイントのタイプに応じて異なります。 - 摩擦のプロパティ
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プロパティ 概要 Friction Use friction ジョイントに摩擦を追加します。 Dynamic friction coefficient 動的状態での摩擦係数。 Static friction coefficient 静的状態での摩擦係数。 Stiction transition velocity 摩擦状態が静摩擦から動摩擦に遷移するときの速度。 Use for static analysis 静解析時に摩擦を有効または無効にします。 Effect 含める効果(Stiction、Sliding、またはStictionとSlidingの両方)。 Input Forces 初期荷重、反力、曲げモーメント(該当する場合)のうち、どの力が摩擦の計算で考慮されるのかを制御します。 Pin radius 回転、円筒、およびユニバーサルジョイント上の摩擦を求めるためのピンの半径。 Ball radius ボールジョイント上の摩擦を求めるためのボールの半径。 Torque preload 回転、円筒、ユニバーサル、および球ジョイントの初期荷重摩擦トルク。 Friction arm 回転ジョイントとユニバーサルジョイントで軸摩擦トルクを計算するために使用されるモーメントアーム。 Bending arm 回転ジョイントとユニバーサルジョイントで曲げモーメントを計算するためのモーメントアーム。 Force preload 並進ジョイントと円筒ジョイントの初期荷重摩擦力。 Initial overlap 並進ジョイントと円筒ジョイントのスライディングパートの初期オーバーラップ。 Reaction arm 並進ジョイント軸を中心とした反作用トルクのモーメントアーム。 Overlap delta Z軸の正方向にジョイントが移動したときに、スライディングジョイント(円筒および並進)内のオーバーラップが増加するのか減少するのかを示します。 Rotation constraint ユニバーサルジョイントに適用できます。I YokeまたはJ Yokeを選択して、それぞれ1つ目または2つ目のDOF軸に摩擦を追加します。両方の軸に摩擦を追加するには、Bothを選択します。 LuGre parameters Bristle stiffness LuGreモデルのブリッスル剛性を指定します。これにより、摩擦要素の微小変形に抵抗する剛性がモデル化されます。 Damping Coefficient 変位前(またはスティクション)状態の減衰係数を指定して、変位前状態のブリッスルの振動を減衰させます。 Viscous Coefficient 相対滑りが始まるときに発生する粘性減衰力の係数を指定します。この係数により、滑り速度の増加に伴って摩擦力が強くなります。