HS-1507: Data Source内のAreaツールを使った材料の較正
本チュートリアルでは、Area関数を仕上げ、HyperStudyでHyperStudy - Editor(エディタ)を用いてRadiossファイルから入力テンプレートを作成する方法を学習します。
このチュートリアルの目的は、引張試験シミュレーションの応力-ひずみ曲線が引張実試験の曲線と一致するようなRadioss材料パラメータ値を求めることです。
HS-1506: 曲線間面積を使った材料の較正 は、2つのカーブの差を測るためにComposeまたはPython関数を使ってこの問題をセットアップする代替の手法を紹介しています。
HS-4200: システム同定を使った材料の較正 は、この問題をシステム同定を用いた代替法を示しています。
このチュートリアルの最後までに、ユーザーは下記の事項を学ぶことができます:
- HyperStudy - Editor(エディタ)を用いたRadiossファイルからの入力テンプレート作成
- スタディのセットアップ
- MIN(f(x))最適化スタディの実行
モデルの定義
標準の引張試験片の1/4が、対称条件を使ってモデル化されます。試験片の左側の端点における速度を介して引張がかけられます。
単位は、mm、ms、g、N、MPaです。

図 1. 引張試験片の形状(試験片の1/4をモデル化)

図 2. 時刻歴用に保存されたセクションと節点


特性化される材料は6063 T7 アルミニウムです。これは、Johnson-Cookモデルによって損傷なく再現されることのできる等方性弾塑性の挙動を有し(RADIOSS Block Law2)、以下のとおり定義されます:

- 応力レベル
- 塑性ひずみ
- 降伏応力
- 硬化係数
- 硬化指数
- ひずみ速度係数
- ひずみ速度
- 参照ひずみ速度
本チュートリアルでは、パラメータa、b、n、σmax(最大応力)およびヤング率を入力変数として定義します。実験テストによって得られた応力 / ひずみカーブは、図 3に示すとおりです。

図 3. 工学応力vs.工学ひずみカーブ(実試験結果)

シミュレーション結果については、工学ひずみは節点1の変位を参照長(75 mm)によって割ることで、工学応力はセクションのフォースを初期サーフェス(10.2 mm2で割ることで求められます。

図 4. 工学応力vs.ひずみのカーブ(シミュレーション結果)

ベース入力テンプレートの作成
このステップでは、HyperStudyでベース入力テンプレートを作成します。もしくは、スタディのDirectory(ディレクトリ)にあるベース入力テンプレートを使用します。
- HyperStudyを開始します。
-
メニューバーから をクリックします。
エディタが開きます。
- File(ファイル)欄で、TENSILE_TEST_0000.radファイルを開きます。
-
Find(検索)領域で、/MAT/PLAS_JOHNS/1と入力し、
をクリックします。
HyperStudyは、/MAT/PLAS_JOHNS/1をハイライト表示します。図 5. -
行51の先頭からスタートして、最初の20のフィールドをハイライト表示させ、変数Eを選択します。
ヒント: 20文字分のフィールドを素早くハイライト表示するには、Ctrlを押して セレクター(20文字に設定されている)をアクティブにしてから、値をクリックします。
図 6. - ハイライト表示された欄内を右クリックし、コンテキストメニューからCreate Parameter(パラメータの作成)を選択します。
-
Parameter(パラメータ): varname_1ダイアログで以下のオプション群を定義し、OKをクリックします。
- Label(ラベル)欄にE_Youngと入力します。
- Lower Bound(下限値)を50000に変更します。
- Nominal(初期値)を60400に変更します。
- Upper Bound(上限値)を70000に変更します。
- Format(フォーマット)を%20.5fに変更します。
図 7. -
表 1にある情報を用いて、あと4つの変数を定義します。
表 1. 変数 Label(ラベル) Lower Bound(下限値) Nominal(初期値) Upper Bound(上限値) Format(フォーマット) a a_PlasticityYieldStress 90 110 120 %20.5f b b_HardeningCoeff 100 125 160 %20.5f n n_HardeningExpo 0.1 0.2 0.3 %20.5f sigmax Sigma_Max 250 280 290 %20.5f - Save(保存)をクリックします。
- Save Template(テンプレートを保存)ダイアログで、ファイルをTENSILE_TEST_0000.tplとして保存します。
- Editor(エディタ)を閉じます。
スタディのセットアップの実行
-
以下の方法で新規スタディを開始します:
- メニューバーから、 をクリックします。
- リボン上で
をクリックします。
- Add Study(スタディの追加)ダイアログでスタディの名前を入力し、スタディの場所を選んでOKをクリックします。
- Define Models(モデルの定義)ステップに進みます。
-
パラメータ化ファイルモデルを1つ追加します。
-
モデルの依存性を定義します。
- Model Resources(モデルリソース)をクリックします。
- Model Resource(モデルリソース)ダイアログで、Model 1 (m_1)を選択します。
- をクリックします。
- Select File(ファイルの選択)ダイアログで、作業ディレクトリに進み、TENSILE_TEST_0001.radファイルを開きます。
- Operation(操作)をCopyにセットします。
- Close(閉じる)をクリックします。
図 9. -
Import Variables(変数のインポート)をクリックします。
5つの入力変数がTENSILE_TEST_0000.tplリソースファイルからインポートされます。
- Define Input Variables(入力変数の定義)ステップに進みます。
- 入力変数の下限値と上限値を確認します。
ベースランの実行
- Test Models(モデルをテスト)ステップに進みます。
-
Run Definition(計算実行)をクリックします。
スタディのDirectory(ディレクトリ)内に、approaches/setup_1-def/ディレクトリが作成されます。approaches/setup_1-def/run__00001/m_1には、ベースランの結果である入力ファイルが含まれます。
出力応答の作成と評価
ここでは、Area関数で使用されるデータソースを作成し、出力応答を評価します。
-
Area Between Two Curves出力応答を作成します。
-
Disp_simとラベル付けされたデータソースを作成します。
-
2の手順を繰り返し、Force_simとラベル付けされた2つ目のデータソースを作成します。
以下のオプション群を定義します:
- TypeをSection/SECTION_2にセットします。
- Requestを2 section 1にセットします。
- ComponentをFT-Resultant Tangent Forceにセットします。
-
Strain_expとラベル付けされた3つ目のファイルソースを作成します。
-
4の手順を繰り返し、Stress_expとラベル付けされた4つ目のファイルソースを作成します。
以下のオプションを選択します:
- ToolをFile Source(ファイルソース)に設定します。
- TypeをUnknownにセットします。
- RequestをBlock 1にセットします。
- ComponentをColumn 2にセットします。
-
Area Between Two Curves出力応答を定義します。
-
Expression Builder(式ビルダー)で、Insert Variable(変数の挿入)タブをクリックします。
図 14. - OKをクリックし、Expression Builder(式ビルダー)を閉じます。
- Evaluate(評価)をクリックして出力応答値を抽出します。
最適化の実行
-
Optimization(最適化)を追加します。
- Explorer(エクスプローラ)内で右クリックし、コンテキストメニューからAdd(追加)を選択します。
- Add(追加)ダイアログでOptimization(最適化)を選択します。
- Definition from(定義元)に、Setup(セットアップ)を選択しOKをクリックします。
- ステップに進みます。
- Objectives/Constraints - Goals(目的 / 制約条件 - 目標)タブをクリックします。
-
Area Between Two Curves出力応答に目的関数を適用します。
- Add Goal(目標を追加)をクリックします。
- Type (タイプ)列に、Minimizeを選択します。
図 15. - ステップに進みます。
-
ワークエリア内でModes(モード)をAdaptive Response Surface Method (逐次更新型応答曲面法)(ARSM)にセットします。
注: 問題の定式化に有効な手法のみが使用可能です。
- 適用をクリックします。
- Evaluate(評価)ステップに進みます。
- Evaluate Tasks(計算実行)をクリックします。
-
Evaluation Plot(評価プロット)タブをクリックし、目的関数の最適化反復計算の履歴をプロットします。
図 16.