パワーショベルの掘削シミュレーションにおけるバケット形状のDOE・最適化


Altair InspireのパラメトリックモデリングとAltair HyperStudyのDOEおよびMotionSolveとEDEMの連成シミュレーションにより、パワーショベルのバケット形状を様々に変えた場合の掘削性能を評価できます。

本記事では、HyperStudyからMotionSolveとEDEMの連成シミュレーションを実行し、バケット形状が変化した場合の掘削土量、消費エネルギを自動で計算する方法を紹介します。

本記事で使用したモデルは下記よりダウンロードいただけます。

MotionView.zip

 

MotionViewモデルのエクスポート

下記で紹介したモデルを使用します。

パワーショベルの土砂掘削シミュレーションにて消費エネルギを算出する方法

MotionView/Excavator.mdlをMotionViewで開き、File -> ExportよりExcavator.xmlとして出力します。

 

Excavator.xmlでは、3か所にて別ファイルを参照していますので、そのパスを絶対パスに変更します。

HyperStudyの計算では、Excavator.xmlのみコピーし、参照ファイルは常に同じものを参照します。例えば、上段を下段に修正します。

①弾性体

"02_Flexibility\**.h3d"

"G:/data/Motion_Training/bucket_optimization/model/MotionView/02_Flexibility\**.h3d"

②FMU

"03_Controls/**.fmu"

"G:/data/Motion_Training/bucket_optimization/model/MotionView/03_Controls/**.fmu"

③CADファイル

"Excavator_MS_input_gra.x_t"

"G:/data/Motion_Training/bucket_optimization/model/MotionView/Excavator_MS_input_gra.x_t"

 

修正したExcavator.xmlを

HyperStudy/MotionSolve/Excavator.xml

にコピーします。

HyperStudyの計算では、このファイルがコピーされて使用されます。

 

 

EDEMモデル・Inspireパラメトリックバケットモデルの登録

下記と同じ手順でEDEMモデル、Inspireのパラメトリックバケットモデルを登録します。

Altair HyperStudyを用いたバケットの自動形状変更方法(容量一定拘束なし)

 

MotionSolveモデルの登録

HyperStudy/MotionSolve/Excavator.xmlをEDEMのモデル(m_2)にコピーします。

Solver Input Argumentsに -co Excavator.xmlを追加します。

最終的に引数は下記となります。-geoでInspireのモデルでEDEMのバケット形状を更新し、-coでMotionSolveとの連成シミュレーションが実行されます。

exe -dem ${file} -geo bucket_param.stmod -co Excavator.xml

 

モデルの実行

Test ModelsのRun Definitionをクリックすると、

まず初めに、登録したInspireのPythonスクリプトが実行され、HyperStudyの作業フォルダにarea.txtが作成され応答のバケット幅Wが計算されます。

次に、EDEMのモデルが実行され、先に算出したバケット幅Wと各設計変数R, beta, l1, rを用いたバケットが生成され、EDEMのバケットモデルと差し替えられます。その後、EDEMとMotionSolveの連成シミュレーションが実行されます。

 

応答の登録

下記で設定した応答に加え、MotionSolveの結果ファイルから算出したエネルギーなどを応答として登録します。

Altair HyperStudyを用いたバケットの自動形状変更方法(容量一定拘束なし)

Data SourcesにMotionSolveの結果ファイル.abfを登録して、Time, Total_EnergyおよびバケットがEDEM粒子から受けるZ荷重を登録します。

Define Output ResponsesにてMotionSolve結果のフレーム数pt、最終時刻での消費エネルギー[kJ]とバケットが粒子から受けるZ荷重[kgf]を定義します。

 

DOEの実行

DOEを追加します。例えば、Fractional Fractorialで8ケースのDOEマトリクスを生成し、追加でデフォルト値のケースを追加した9ケースのマトリクスを作成しました。

計算を実行すると、バケット形状の設計変数に対して、消費エネルギーや掘削質量がどう変化するかを計算することができます。

パレートプロットにより応答(掘削質量など)に対する設計変数(バケット形状)の寄与度を確認できます。

本システムを用いて、性能・効率の高いバケット形状の設計が可能となります。

 

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使用ソフト

Altair EDEM

Altair MotionView/MotionSolve

Altair Twin Activate

Altair Inspire

Altair HyperStudy