Inspireのメッシュ作成について


InspireのOptiStruct(有限要素法)ソルバーを用いる際、重要な設定のひとつとしてメッシュがあげられます。
Inspireではメッシュ設定の自由度は高くないですが、よりよい解析が実行できるようにこれらの設定方法をお伝えします。

 

メッシャーと作成される要素について

InspireのメッシャーはソリッドはSimLab、シェルはHyperMeshが担当しています。
したがって、高品質なメッシュを自動で生成することが可能です。
また、ソリッドに関してはテトラのみ、シェルはquadもしくはtriaの混在となります。

 

メッシュサイズの設定方法

パート全体の設定を行うにはプロパティエディターから設定を行います。
メッシュにチェックを入れると寸法を指定できます。

(画像をクリックすると拡大します)

フェイス単位の設定はメッシュコントロールから設定を行います。
メッシュコントロールは「構造リボン>設定▼>メッシュコントロール」からアクセスできます。

(画像はクリックすると拡大します)
平均要素サイズの指定となります。最小要素サイズは平均要素サイズの1/5となります。
また、この際プロパティエディターでの要素サイズが優先されます。

メッシュサイズの推奨値は 平均要素サイズ / 最小要素サイズ= 5~10 です。
複雑な形状になるほど10に近づけたほうが良いです。

 

ソリッドメッシュの内部成長率

ソリッドメッシュに関して、内部成長率はデフォルト値が決まっています。
[Inspire install folder]\hwx\config\freedom にあるxmlファイルを編集することで任意の内部成長率を指定することができます。
例:C:\Program Files\Altair\2022.3.1\Inspire2022.3.1\hwx\config\freedom
このフォルダのdevPreference.xmlにおいて以下のように記述されており、
最適化計算では設計領域では1.0、非設計領域で成長率1.3となっています。構造解析ではNonDesginSpaceの値が適用されます。

<!-- Volume meshing growth factor. Default value suggested by Simlab is 1.3. Higher the value, coarser the mesh growth -->
<VolMeshGrowthFactor DesginSpace="1.0" NonDesginSpace="1.3">  
	</VolMeshGrowthFactor>

その他の設定も変更することが可能ですので、カスタマイズするのも手です。
※ただし設定する際は元ファイルをコピーして残しておきます。

 

線に沿った節点を作成する

シェルの場合
フェイスにインプリントを作成する場合は、境界条件を設定することで反映されます。

もしくはフェイスを別パートに分割し、固着の接着定義を行います。(シェルの場合、固着は節点共有で表されます。)
節点共有となる条件は以下の通りです。

また、ジオメトリに隙間がないようにします。隙間の有無は以下のように確認できます。


ソリッドの場合
フェイスの表面にインプリントを作成することで、インプリントで作成された線に節点が配置されます。

インプリントの作成、サーフェイスの分割の方法は→Inspireでフェイスを分割する方法

 

グローバル要素サイズ(デフォルト要素サイズ)

先ほどのメッシュコントロールの要素サイズ設定に関して、グローバルの項目(灰色)があったことに気が付きましたでしょうか。
このグローバルの要素サイズは解析実行時から確認、指定することもできます。
単パートの場合や全て同じサイズの要素サイズを指定したい場合は解析実行時に以下の場所から設定します。
雷アイコンを押すとデフォルトのサイズが計算されます。

ではデフォルトのサイズはどう決められるのでしょうか。
一言で言えば「平均部品厚を2~3で割ったもの」となります。
詳細は以下のようになっています。

  1. 各部品の平均厚さを、体積と表面積から計算します
  2. 最小値を2または3で割った値を使用して要素サイズとし、要素の総数を予測します
  3. 要素の予測合計数が "a" ~ "b" ("a" と "b" はハードコーディングされた数値) 内にある場合は、この要素サイズ値が使用されます。
  4. 予測要素総数が「a」よりも小さい場合、予測総要素数が「a」になるようにメッシュサイズを小さくします。
  5. 予測総要素数が「b」より大きい場合、予測総要素数が「b」になるようにメッシュサイズを大きくします。

このaとbの値は毎バージョン異なり、またご確認することはできません。

 

要素次数の選択とfemファイルのエクスポート

要素次数は解析実行時に選択することができます。
ソリッドパートの構造解析は2次要素(精密)、最適化計算は1次要素(速い)推奨です。
シェルパートの場合は、両方構造解析と最適化に1次要素(速い)を使用しても精度よく計算が出来ます。

またエクスポートからfemファイルを出力することが可能です。HyperWorksやSimLabで読み込んでより高度な解析を実行できます。

他にも「精密」「速い」といった精度か速度を選ぶ選択肢がありますが、2次要素か1次要素の選択肢となっています。
下図は機構解析時の弾性体作成時の解析設定です。

 

最適化計算時の設定値

トポロジー最適化計算において最小板厚値は平均要素サイズの3~12倍以上とします。最大板厚値は最小板厚値の2倍以上とします。

トポグラフィー最適化計算において最小ビード幅は要素サイズの2倍以上とします。

 

 

作成されたメッシュの確認方法

作成されたメッシュは結果確認の際に確認することができます。最適化結果の表示の際も同様です。

OptiStructソルバーで解析を実行した際は必ずメッシュを表示し、メッシュに問題がないか確認します。

メッシュ再生成のルール

Inspireでは効率化のため、パートのジオメトリを変更していない場合はメッシュを再生成せず、同様のメッシュを使用します。
しかし、以下のような場合はメッシュを再生成、もしくは修正します。

パートの編集や再度モデルを開いていないのに、解析結果の数値が大きく変わる場合は、
そもそものメッシュサイズが大きく、また品質が悪いためメッシュが修正されていることが原因の可能性があります。
その際は解析結果から作成されたメッシュを確認し、必要に応じてメッシュサイズを小さくしてください。
また、モデルを簡略化するのも手かもしれません。