本記事では、弾塑性材料のくびれが発生するタイミングがいつなのかを示し、くびれの起きない弾塑性材料がつくれるのかどうかを示します。
くびれは、公称応力 σn, 公称ひずみ εn を用いると、次のタイミングで起きます。要は引っ張っても負荷が増えないので、そのままどこまでも伸びてしまう状態になった時です。全体がきれいに伸びてもよさそうですが、実験にせよ、シミュレーションにせよ、かならずばらつきや形状の影響というのは出てくるので、実際には、一か所だけくびれてしまうということになります。
(式1)
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
https://community.altair.com/community/ja/?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0122424
(材料引張試験のくびれ発生後の応力低下データは、材料特性ではなく、形状の特性です。)
公称値では、Radioss の材料モデルには使いにくいので、真値での式にするとこうなります。σt が真応力で、εt が真ひずみです。SS カーブの傾きが応力以下になるタイミングでくびれます。
(式2)
もちろん実際の形のある物は、形の影響があるので、これほどぴったりにはなりませんが、ある程度の目安にはなると思います。
無限にという意味では無理です。式2 を追っていけば分かるのですが、いつか、傾きがヤング率を超えてしまいます。しかし、逆に言えば特定の範囲であれば可能です。実際、皆さんの材料モデルも、降伏と同時にくびれているわけではないと思います。
こちらのエクセルで、おおよそ真ひずみ 1.0 までくびれない、応力ー塑性ひずみカーブを考えてみました。
/MAT/LAW2 の式は、こちらの式です。a,b,n はエクセルの中の a,b,n です。
これを /MAT/LAW36 で割り当てた引張試験モデルはこちらです。
くびれずに非常に良く延びます。
こちらは荷重ーストローク線図です。荷重が平らになってくびれる (式1 の意味です) 直前に、傾きが大きくなって、くびれを回避しています。